【2015夏の高校野球】《香川観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド

2015/7/6

7月11日〜26日（レクザムスタジアム）

四国王者・英明打線に挑む多才な猛者陣
投打で逸材ぶり発揮する三本松・三好

●「スピード時代」香川県に到来

　今春の県大会で140キロ台の投手が次々と登場した香川県。最速146キロの香川瑞貴（大手前高松）を筆頭に、144キロの三好大倫（三本松）、140キロにまで幅を広げると、岸下楓雅（高松東）、森崎友星（高松中央）、左腕・鍋島巧（坂出）ら3年生を含む複数の投手が次の階段へ進む上での評価基準を突破している。

　今年は、3月にオープンしスピードガン表示も備える四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀と、レクザムスタジアムのみで春夏秋の県大会全試合が開催される。各校の投手たちにとって、スピードガン表示に触れることによるモチベーションの向上は著しく、春の県大会は、その効果の大きさを感じさせる大会だった。

　また、あえて球速に背を向け、制球力を重視する最速141キロ・田中寛大と最速139キロ・中西幸汰の英明Ｗ左腕、表示の錯覚を利用してストレートと球速差のないカットボールを駆使する後藤聡太（高松南）、右サイドからの角度で勝負する山上代貴（丸亀城西）なども含めた「スピード時代」は、今後も続いていきそうだ。

●故障からの復活を期す右腕

「故障からの回復が長引いて、ようやく4月に復帰できたんですが、状態は上がってきません」

　観音寺中央・土井裕介監督が神妙な表情で語るのは、昨秋182センチの長身から最速138キロをマークした藤井亮のことだ。観音寺中央と同じく昨秋四国大会出場を果たした志度・?嶋流星も春は故障で登板なし。ともにまさかの初戦敗退に終わった両校エースと、昨夏甲子園のマウンドを経験している西口ひかる（坂出商）の夏までの状態は、他校にとっても気になるところだ。

　一方、今春の県大会では、1年春に四国大会優勝投手となった新納豊（尽誠学園）が久々に登板。14年ぶりに同校で指揮をとることとなった松井義輝監督は「勝負球に甘さがあった」と話す。春の課題を克服できるかが焦点となる。

☆★☆ 打者編 ☆★☆

●豪快さと俊足、強肩と繊細

　今春のセンバツでは不発も春の四国大会・明徳義塾（高知）戦で3ランの中野公貴に森山海暉、大会7打数7安打の橋本駿輔などスキのない英明打線。彼らに対抗すべく、猛者たちがそれぞれのストロングポイントで勝負を挑む。

「豪快さ」では、鳴門渦潮（徳島）との招待試合でオロナミンＣ球場の130メートル右中間最深部に高校通算20号を叩き込んだ三好大倫（三本松）、太ももの大きさをパワーや逆方向長打につなげている森池大地（藤井学園藤井）に、森涼矢（丸亀城西）、山本一輝（高松商）ら左打者たちを挙げたい。

「俊足」では、確実性に課題はあるが、西井一貴（香川西）や、高松商の2年生コンビ・安西翼と荒内俊輔が、絶品の一塁駆け抜けスピードを有する。

「繊細さ」を武器にする捕手たちにも注目だ。湊谷玲和（高松南）は、強肩以上に後藤のよさを生かす配球で春県大会準Ｖに貢献。居石耕二郎（香川中央）も創意工夫のリードを欠かさない。二塁送球2秒を切る酒井元己（高松商）や桑田一馬（丸亀城西・2年）らも彼らの「繊細さ」に続きたい。

☆★☆ 大会展望 ☆★☆

●英明の春夏連続が濃厚か

　秋春連続で四国を制し、走攻守に充実する第1シード・英明の春夏連続甲子園が極めて濃厚。5年連続ノーシード校甲子園出場のジンクスをついに脱しそうだ。一方、第2シードの丸亀城西に続く高松南、三本松のシード校は軸となる選手以外の選手層に不安を抱えている。その部分で選手層の厚い尽誠学園、大手前高松、高松商は英明に対抗できる可能性を残す。だが、英明が万が一敗れるようなことがあれば、小豆島、土庄、観音寺中央あたりも交えての大混戦となることは必至である。