<はじめに>
今回から始まったこのコーナー「侍JAPAN×2013WBC完全攻略法」。「週刊」の枠を外して、大会中不定期で更新して参ります。「攻略」の名の通り、日本代表が勝つためにはどうしたらいいのか? という観点からの記事も掲載していきますのでお楽しみに!
【日本代表、遂に決まる】
2月20日に2013WORLD BASEBALL CLASSICの日本代表が発表されました。そして、23,24日にはオーストラリアとの壮行試合が行われ、気がつけば今週末にはWBC第1ラウンドが開幕します!
「えー、“侍ジャパン”が決まったのはニュースで見たけど、それ以外の情報わかんないよー。試合ってどこでやるんだっけ?」
「いや、日本代表さえも見落としてるかもしれない…」
「あれ…監督って…」
なんて方もいるかと思います。これからの盛り上がりに乗り遅れないためにも、一度ここで基礎的な情報を整理しつつ、さらに、今後の“侍ジャパン”の動向について、逐一リポートしていきたいと思います。
この『WBC』特集に関しては「週刊」という区切りにこだわらず、大会の展開に沿って随時更新していく予定なので、更新日(月曜)以外の日にもチェックください。
特集の最初はこちら、先日発表されたばかりの代表選手についてです。
◎日本代表選手一覧(カッコ内数字は背番号)
▽投手
涌井秀章(西武・11)、能見篤史(阪神・14)、澤村拓一(巨人・15)、今村猛(広島・16)田中将大(楽天・17)、杉内俊哉(巨人・18)、前田健太(広島・20)、森福允彦(ソフトバンク・21)、内海哲也(巨人・26)、大隣憲司(ソフトバンク・28)、牧田和久(西武・35)、山口鉄也(巨人・47)、攝津正(ソフトバンク・50)
▽捕手
相川亮二(ヤクルト・2)、阿部慎之助(巨人・10)、炭谷銀仁朗(西武・27)
▽内野手
鳥谷敬(阪神・1)、井端弘和(中日・3)、松田宣浩(ソフトバンク・5)、坂本勇人(巨人・6)、松井稼頭央(楽天・7)、稲葉篤紀(日本ハム・41)、本多雄一(ソフトバンク・46)
▽外野手
糸井嘉男(オリックス・9)、中田翔(日本ハム・13)、内川聖一(ソフトバンク・24)、長野久義(巨人・34)、角中勝也(ロッテ・61)
11月末に発表された暫定メンバー33名(吉見一起(中日)は1月に代表入りを辞退)から、山井大介、浅尾拓也(ともに中日)、村田修一(巨人)、大島洋平(中日)、聖澤諒(楽天)の5選手が外れました。
日本代表選手を球団別でみてみると、巨人が7人で最も多く、続くのはソフトバンクで6人。スタメンに名を連ねそうな面々は若い選手が多いですが、稲葉が過去のWBC、オリンピックも合わせて初めての40歳での選出となったのをはじめ、37歳の井端や松井、36歳の相川らベテランが加わった“侍JAPAN”の平均年齢は28歳。これは06年の28.8歳、09年の27.9歳を上回ることになります。
それでは、さらに掘り下げて細かいところまで見て行きましょう。
【要チェック! 投球数制限と登板間隔】
WBCは、通常のプロ野球の試合とは違い、一人の投手が投げられる投球数に制限があります。これは大会直後にシーズンを迎える選手の故障防止に配慮したもの。今大会は第1ラウンドでは65球まで、第2ラウンドでは80球まで、準決勝・決勝では95球までと設定されています(ただし、打者との対戦中に球数を越えた場合、その打席が完了するまで投げることができる)。前回より5球減で、2006年の第一回大会と同じ球数となりました。
また、ちょっとフクザツですが、登板間隔についても規定があります。50球以上投げた場合、次回登板には4日を空けなくてはなりません。30球以上50球未満、また30球未満でも2試合連続で登板した場合、中1日の間隔を空けなくては登板できません。
このルールが試合展開、その後の戦いに大きく関わっていくわけです。ぜひ覚えておきましょう。
ちなみに、このような制限から、投手の「完投」は望めないため、あらかじめ準備しておくロングリリーフを「第二先発」と呼んでいます。WBCならではのキーワードもここでおさえておきましょう。
【どうなる? 選手起用・投手編】
はじめの構想では浅尾が「抑え」でしたが、右肩の不調のため、代表から外れました。代わって、白羽の矢が立ったのが、西武でも抑えの経験がある牧田。アンダースローという武器が世界各国の打者たちに通用するのか見物です。
先発陣は2本柱と考えられていた田中と前田が今のところピリッとしません。特に前田は右肩の状態に不安があり、代表を外れることも検討された、という報道もあったぐらいです。最悪の場合、第1ラウンドでは登板回避もありうるとのことでした。徐々によくなったとはいえ、24日のオーストラリアとの壮行試合での投球内容は本調子とは程遠いものでした。
しかし、その他の投手、能見や攝津、そして3大会連続の出場となる杉内はWBCの使用球に適応もできており、いいコンディションを保っているようです。通称「第2先発」に早い段階で交代するケース、もしくは彼らが先発として投げるケースなど様々なオプションが考えられます。
【どうなる? 選手起用・野手編】
内野手では鳥谷、松井、井端の3人はレギュラーポジションのショート以外に、セカンド、サードでもノックを受け、不測の事態に備えています。
外野手はセンター長野、ライト糸井は固定していくと見られています。レフトとDHは対戦相手との相性と調子の兼ね合いで内川、中田、角中の3人から使われていくようです。ただ、聖澤と大島が代表には入れなかったため、センター、ライトの控えがいない状態になっています。「点を取ることを考えて」と山本浩二監督はコメントしていましたが、この決断は吉と出るか、凶と出るか気になるところです。
【今大会、最も戦うことになるキューバ代表とは】
2009年のWBCでは日本は計5回、韓国と戦いました。WBCは第1ラウンドで同じ組に入ると、第2ラウンドでも同組に入る仕組みとなっています。今回はその相手がキューバとなりました。その昔から通称「赤い稲妻」、“世界最強のアマチュア軍団”と恐れられていたましたが、WBCにおいては、2006は決勝に進出したものの、2009は第2ラウンドで敗退という、よもやの結果に終わっています。キューバの国技・野球で上位に入れなかったため、威信とプライドを掛けて、今まで以上に強い気持ちで大会に臨むことは間違いありません。最も怖い相手ともいえるでしょう。
キューバは通常、国外に出る場合は親善試合であっても、常にベストメンバーを組む姿勢を崩しません。そのため、昨年の11月に日本で行われた親善試合のメンバーは若手を組み入れたものの、WBCのメンバーもそう変わらないと見られていました。しかし、蓋を開けてみると、11人が新しくメンバー入りしています。WBC期間中、キューバの国内リーグは2012-13シーズンのまっただ中ですから、好調な選手を入れてきたこともあるでしょうが、少々意外な変更でした。
代表メンバーを見渡すと、意外にも…いや、ついに…、1999年から国際大会で正捕手を務め続けたベテランのアリエル・ペスタノの名前がありません。推測ですが、39歳という年齢による衰え、過去のWBC、特に日本戦ではペスタノ自身がイライラしてしまう場面が見受けられ、捕手としていい雰囲気を作ることができなかったことも起因するのかもしれません。
その他の主力メンバーは順当に代表入りしています。日本が対戦するにあたり気をつけたいのは、中軸を担う、グリエル、デスパイネ、アブレウの3人です。パワーも有り、確実性も高い打者が3人も並ぶわけで、その前にはランナーは出したくないところです。
最後にちょっと違う見方もおすすめします。
もちろん、日本人としてはキューバに負けたくない、いいプレーはされたくない気持ちはあるのですが、彼らの野球選手としての能力の高さは、ぜひ堪能してほしいと思います。とくに編集部がおすすめしたいのは、アルエバルエナのショートの守備。異次元の身体能力とバネを持つ選手です。大会期間中、見たことのないプレーが見られるかもしれません。その他、魅力的な選手たちが多数在籍するチームです。素晴らしい試合に期待しましょう。