福岡の有望選手、大会展望
7月5日〜28日(北九州市民球場ほか)
二刀流スター小野が真の主役となれるか
急成長の早野と怪物級捕手陣にも注目
投手編
▲小野郁(西日本短大付)
投打の華・小野郁と九州大会組
小野郁(西日本短大付)が投打で夏の主役となる。「高校時代の新庄(剛志、元阪神ほか)を思い出す」と、チームメートだった西村慎太郎監督は形容する。四死球で自滅の秋季九州大会を経て、春季大会は制球力も向上。最速148キロストレート、フォーク、チェンジアップで、秀岳館打線から10奪三振を記録した。
他の九州大会出場組も夏に期待できる。右サイド・江中寛樹(久留米商)は多彩な変化球でゴロの山を築く。東福岡はツインエースを形成。まとまった左腕・?田駿と粗削りな右腕・森翔平は、2年前の森雄大(楽天、翔平の兄)と野原総太(西部ガス)に匹敵する。
強豪私学と伝統公立校に逸材
長身素材型の右腕ナンバーワン・笹渕塁嗣(筑陽学園)は、角度のあるストレートとスプリットを操る。昨夏の甲子園組で北九州市内大会優勝の技巧派左腕・久保拓眞(自由ケ丘)は、140キロ超のストレートとスライダーを駆使。筑後地区大会優勝の本格派右腕・高椋俊平(柳川)は、最速130キロ後半の鋭角ストレートとスライダーのキレで翻弄する。
公立勢にも好投手が揃う。『青春の門』(著・五木寛之)の舞台・筑豊から、「川筋喧嘩投法」の秋山遼太郎(田川)が出現。左スリークオーターからのクロスファイアーが右打者の胸元を襲う。左上手・岡野新二(小倉)は凄みこそないが、制球よく打たれない。右横手・光井海斗(八幡)は、横滑りするスライダーを決め球にしている。
打者編
▲清水優心(九州国際大付)
入り乱れる個性派選手たち
打者としてドラフト指名もある小野(西日本短大付)は、狙って本塁打を打てる長打力とバネのある走塁で、「二刀流」をも予感させる。投打ともに集中力を発揮し、状況判断力が素晴らしい。
早野僚馬(自由ケ丘)は、急成長中だ。走攻守は、先輩中堅手・武田健吾(オリックス)に劣らない戦車の馬力で、グラウンドを嬉々として飛び跳ねる。
河野元貴(巨人)、梅野隆太郎(阪神)、小関翔太(楽天)を輩出した2010年以来の「捕手の当り年」の象徴は、1年から活躍の怪物級捕手・清水優心(九州国際大付)。通算30発に二塁送球1.80秒台と、無類のスペック。山川晃司(福工大城東)は、強打に加え巧みなキャッチングを誇る。ともに先輩を追いプロを目指す。強肩俊足捕手・八巻優大(東筑)は、本盗を試みる野球カンがいい。
今夏も九州国際大付に好素材
九州国際大付の中尾勇斗と古澤勝吾の二遊間守備は、九州一だろう。ともに長打力と脚力を備える。西日本短大付・小野の低めを振り抜き本塁打を放った龍昇之介(久留米商)は、兄・幸之介(白鴎大)譲りの天性のアーチストである。武富章剛(西日本短大付)は、2年世代の県を代表するスラッガーで、投手としても期待したい。
俊足巧打系・中堅手の逸材も多く、日野恭輔(東福岡)、深水輝希(筑陽学園)、北野秋宏(飯塚)を推したい。三塁手・岩城駿也(東海大五)は、ピンストライプが似合うスラッガーだ。
大会展望
西日本短大付を先頭に精神力の勝負
西日本短大付が、スーパースター小野を擁して頭一つリードする。逆方向狙いの打撃がしぶとい自由ケ丘が続く。九州国際大付は、若生正廣監督の「ラストサマー」を飾りたい。層の厚さと十分な実績を残す久留米商と東福岡は、持ち前の堅実な野球でチャンスをつかみたい。投手力の小倉、田川、柳川、八幡、東海大五に、総合力の福工大城東、福大大濠も上位にからんでくるだろう。夏に強い東筑も不気味な存在。群雄割拠状態なので、最後は精神力の勝負となるだろう。