「孤高の天才」と呼ばれ続けた前田智徳が、遂に今シーズン限りでバットを置いた。
1990年の入団以来、広島東洋カープ一筋24年。だがこの間、一度も打撃タイトルを獲得することはなく、2年目(91年)にリーグ優勝を果たすものの、その後は一度も勝利の美酒に酔えぬままだった。
多くの場合、プロ野球選手は、個人タイトルを獲得するか、もしくはチームを優勝に導ける選手かどうか、ということで評価されていく。ではなぜ、この男は「天才」と呼ばれ続けたのか……。それは周囲のプロ野球選手からの評価がひと際高く、様々な場面で語られることが多い選手だったからだ。そこで、現役選手、評論家、OBたちの「前田智徳評」から、改めてこの「最後の侍」の輪郭を浮き彫りにしてきたい。