【2016夏の高校野球】《長野観戦ガイド》有望選手と大会展望＆勢力ピラミッド

2016/6/28

7月9日〜24日（松本市野球場ほか）

松本第一が初の甲子園に向けて視界良好
上田西・草海も進化果たし連覇狙う！

●甲子園完封エース、最後の夏へ

　昨年夏の甲子園初戦で2年生ながら完封劇を演じ、全国的な注目を集めた草海光貴（上田西）。昨年より下半身が若干大きくなったとはいえ、168センチ60キロで小柄なことに変わりはない。しかし、投球は確実にスゴ味を増している。ストレートが140キロを超えるだけでなく制球力も高く、状況に応じたギアの入れ替えは天性のもの。小さな豪腕がこの夏もライバルの前に立ちはだかる。

　実績を残しているといえば、昨年春の北信越大会決勝でセンバツ優勝の敦賀気比相手に6回3失点と好投している小林玲雄（佐久長聖）だ。140キロを超えるストレートを持つ右の本格派。制球力がよく、安定した投球を続ける。チームメートで、左で130キロ以上を投げる森本雄河も昨秋の北信越4強入りに貢献するなど力を秘める。

　春の長野県大会を制した松本第一にも左右に好投手が存在。左の吉原快は球威で押すタイプではないが、低めへの制球が向上したことで投球が安定。クロスファイアー気味のストレートと抜いた変化球を有効に使い分ける。190センチの長身右腕・若林洸は角度のあるボールが何と言っても魅力。球に力感が出てきたが、体の線がまだ細く、発展途上と言える。

　大型右腕では、21世紀枠候補になった長野のエース・待井壮一郎は、ムラがあるもののボール自体は魅力的。2年生の青柳真珠（松商学園）も制球に課題を残すが、ボールには非常に力がある。

　本格派右腕ではほかに、諸本峻明（岡谷南）、富岡優馬（長野商）、2年生では工藤陽平（上田西）、筒井恒匡（松本工）、高橋聖人（小諸商）も今後の飛躍が楽しみな逸材たちだ。

☆★☆ 打者編 ☆★☆

●遊撃手に注目株が多数

　3番を打つ2人の遊撃手に注目したい。元山飛優（佐久長聖）は1年時に三塁手のレギュラーで甲子園を経験している。守備では1歩目が速くスローイングも正確。変化球にも対応できるシュアな打撃の左打者だ。もうひとりの牧秀悟（松本第一）は右の強打者タイプ。右中間方向へ伸びる打球が特長だったが、レフト方向への打球も上がるようになり本塁打が増えてきた。何よりも勝負強い。

　投手の草海は野手としても非凡。強肩で遊撃手をはじめどこでも守れる。中軸を任される打撃も左右に長打を打てる技術とパワーを備える。投球同様にここぞの集中力は見事。

　スラッガータイプは少ないが、中軸を打つ岡戸創汰（佐久長聖）、峰村大地（長野商）、高橋昇己（小諸商）、岡村涼太（地球環境）、この春ブレイクした樋口豪（松本第一）、2年生で新山進也（松本第一）、藤井大地（松商学園）らのパンチ力は楽しみ。

　一方、スピードのある巧打者で気になるのは2年春に甲子園出場の宮嶋隼平（松商学園）、成澤圭祐（長野日大）はともに左打ちの遊撃手。昨夏の夏の甲子園に出場している二塁手・斎藤尊志（上田西）の足は魅力的だ。

　外野陣も松本大亮（上田西）、梨本雄斗（松商学園）、宮崎大瑚（松本第一）、高谷慶太郎（松本深志）ら脚のある好打者に注目したい。

☆★☆ 大会展望 ☆★☆

●3校軸に、他校も下剋上狙う！

　春の長野県大会で初優勝した松本第一、昨秋の北信越大会で4強入りした佐久長聖、そして2連覇を狙う上田西が優勝争いの軸になりそう。これに続くのが昨秋の県覇者の長野商と今春の県準優勝校・松商学園。さらに長野日大、岡谷南、松本深志のシード校が追いかける。ノーシード校でも小諸商、東海大諏訪、野沢北、東京都市大塩尻、創造学園、地球環境、さらに選抜21枠候補にもなった長野など、あなどれないチームが多数存在し、下剋上を狙う。