【2015夏の高校野球】《山口観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド
7月11日〜27日(西京スタジアムほか)
投打で盤石な宇部鴻城、春夏連続なるか
強打の宇部商引っ張る宮崎兄弟の破壊力
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●有力校のツインエース
昨秋の中国大会優勝校・宇部鴻城がセンバツ後も春準優勝と盤石の戦いを続けている。選手層は厚く、春季大会ではテンポよく投げ込む安定感抜群の上西嵐満を温存し、最速143キロの木場優大の成長をうながした。その結果、制球力も向上し、夏へ視野は良好だ。
伝統の本格派を擁する南陽工勢もスピードなら負けていない。小川聡は、サイドからオーバースローへフォームを変更し最速140キロに迫る。富田昇太は最速135キロの県ナンバーワン左腕。ともに鋭いタテのスライダーがいい。
下関国際は春優勝と同校初の県タイトルを獲得した。原動力となったのは、カットボールが武器のエース・小山司と大津緑洋戦にノーヒットノーランを記録した中島弘喜だ。急造投手だが伸びしろ十分の小山がその潜在能力を開花させれば、勢いがあるだけに面白い。
●先輩エースに挑む2年エース
昨夏県予選にて、池永正明(元西鉄)、津田恒美(元広島)以来の完全試合を達成した渡邉圭亮(徳山)は、テンポのよさと流れるようなスライダーが武器。中島(下関国際)との「ノーヒッター対決」の実現が楽しみである。
昨秋惜しくも中国大会出場を逃した野原真央(桜ケ丘)は、体調不良で球速、球威ともに落ちているが、復調すれば面白い存在となるだろう。左腕からの角度のあるクロスファイアーは、右打者の内角へ鋭く切り込む。
春ベスト8を牽引した柴垣雄哉(宇部工)は、柔らかいフォームから緩急の利いた投球を見せる。打撃もよく、総合力で上西(宇部鴻城)と競いたい。野口崚平(宇部商)と平畠大幹(柳井学園)は、2年生を代表する左右の本格派。夏のブレークを期待したい。
▲上西嵐満(宇部鴻城)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●夏の活躍が楽しみな扇の要
強打の宇部商を担うのは、2年春から4番に座る宮崎佑太だ。高校通算22弾の長打力が注目されるが、強肩に低めの捕球もいい。中堅手の弟・洸太と兄弟クリーンアップを組む。吉中瑞樹(下関国際)は、俊足強肩にパンチ力を兼ね備え、梅野隆太郎(阪神)を彷彿させる。昨夏、甲子園を経験した水野大地(岩国)は、インサイドワークで戦術の岩国野球を牽引。投手や相手打者への間がクレバーさを際立たせる。
●スラッガー争いに絡む好敵手たち
長打力なら、岡田克樹と上田力也の宇部鴻城コンビだろう。どっしりとバッターボックスに立ち、思い切りフルスイングをする姿は、見ていて気持ちいい。皆賀康平(徳山商工)と昨夏、1年でブレークした岡本大志(熊毛南)もスラッガー争いにからむ。
ナンバーワン遊撃手は、柴田聖也(桜ケ丘)か。華麗な守備にパンチ力のある打撃が魅力だ。松本知紘(下関商)は、堅実な守備と安定した打撃が売りだ。川本拓歩(岩国)は、いぶし銀二塁手のプレーを見せる。
中堅手には、横田雄也(岩国商)、山根俊也(柳井商工)、中岡優人(早鞆)、松本仁(長門)など、俊足の巧打者が揃う。右翼手の磯合辰弥(柳井学園)は、懐の深いパンチ力が魅力だ。
▲宮崎佑太(宇部商)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●大本命・宇部鴻城の牙城を崩せるか
「今年は宇部鴻城」。どこに行ってもささやかれる優勝予想である。完成度の高い右腕、最速右腕、伝統の好左腕と投手陣が盤石で、打線も戦車のような重厚感がある。秋以降公式戦無敗の宇部鴻城に、一矢を報いた下関国際は、「元気ハツラツプレー」に対するスタンドのファンを味方に、「勢い」に乗りたい。秋春連続県大会出場組の桜ケ丘と下関商は、総合力で勝負する。今年は、宇部勢と下関勢に力があり、宇部鴻城と下関国際の牙城に割って入りたい。
地区勢力ピラミッド