7月10日〜23日(岩手県営野球場ほか)
柔と剛の両腕擁し夏の覇権狙う一関学院
常連校を脅かす公立校勢の躍進に注目!
●注目投手は私立だけじゃない
夏の前哨戦である春季県大会で一際輝いたのは、一関学院の2人の投手だろう。その2人とは、背番号1を背負い主に先発を任される佐藤拓斗と、ストッパーとしてマウンドに上がる佐竹城一郎である。佐藤は糸を引くようなきれいな球筋の左腕投手。ベースの左右を目いっぱい使えるコントロールを持ち、相手打者の弱いところを的確に突いていく。一方の佐竹は140キロを軽く超えるストレートでねじ伏せていく。“柔”の佐藤と“剛”の佐竹の継投により、一関学院は12年ぶりの春季県大会優勝を手にした。
準優勝に終わった花巻東には、東北を代表する左腕・高橋樹也がいる。インパクトでは佐藤、佐竹に一歩譲るものの、最速146キロを誇るストレートと鋭いスライダーは高い評価を得ている。
盛岡大付には、杉山晃基と花森禎樹の2人の好投手がいる。昨夏の話題を独り占めした松本裕樹(ソフトバンク)の後を継ぐ者たちのさらなる成長に期待したい。
今年の春季県大会で私立の好投手たちを慌てさせたのは、公立のエースたちだ。その筆頭は高橋代伍(黒沢尻工)だろう。シュート、スライダーを自在に操る好投手で、春季県大会2回戦で花巻東の強力打線を翻弄した。延長戦で破れたものの、強豪に冷や汗をかかせる熱投だった。この他にも、130キロ台半ばのストレートを誇る剛腕・田村洋人(平舘)、昨年の秋季大会で快速スライダーを武器に、チームを東北大会に導いた怪腕・森谷秀吾(宮古商)など、強豪私立のエースと真正面から戦える投手が揃っている。
ケガが長引き、春は本領発揮とならなかったが、下級生のときから注目を集めてきた好投手・谷崎周史(久慈)にも期待したい。球速や変化球の質だけでは語れないのが谷崎という投手だ。打てるものなら打ってみろ! と体から湯気のような闘志が立ち上る。“炎の投球”を満天下に知らしめたいところ。最後の夏に向け、完全復調を目指す。