いよいよ開幕するクライマックスシリーズ!ポストシーズンの呪いを検証しよう
今週末11日に両リーグともにクライマックスシリーズ(以下CS)ファーストステージが開幕する。日本一を目指したポストシーズンゲームにも、「呪い」はある。『野球太郎 プロ野球[呪い]のハンドブック』で指摘されていたポストシーズンの主な呪いは以下の3つだ。CS直前にこの事実を思い出し、該当球団のファンは乗り越えられるように応援してほしい。
◎阪神の「呪われているとしか思えない」CSの弱さ……
もはや説明の必要はないかもしれない。CSが開幕するこの時期、必ず話題になってしまうのが、阪神のCSでの圧倒的な弱さだ。もともとシーズン終盤に失速しがちなこのチーム。2008年は最大13ゲーム差をひっくり返されて優勝を逃し、昨季も進出は確実視されていたCSも9月の失速が響き、広島の猛追を受けて、なんとか2位で出場。しかし、3位・広島と対戦したファーストステージでは2連敗でアッサリ敗退。昨季まで4年連続でファーストステージ敗退、CS通算成績は9試合で1勝8敗の勝率.111と、完全に呪われた成績だけが残っている。
短期決戦にも関わらず仕掛けの遅い首脳陣の采配や、リリーフ投手陣の疲労など、原因はいろいろあるだろう。その中で最も目に付くのが、4番打者の不振だ。CSの全9試合中、4番打者の打率.182と全く機能せず、得点力不足に泣いた。ここが呪いを解くポイントになるだろう。
今季の阪神には、マウロ・ゴメスがいる。来日1年目の今季は143試合で4番を務め、109打点でリーグ打点王をほぼ手中に収めている。当然、ポストシーズンでも活躍が期待される。初のファイナルステージ出場は、この男の活躍に懸かっている。
◎秋の風物詩? ソフトバンクに送るポストシーズン突破の秘策?
阪神と並んで、毎年のようにポストシーズンの「呪い」が懸念されているのが、ソフトバンクだ。シーズンで勝ってもポストシーズンでは勝てない……その歴史は、ダイエー時代の2004年から受け継がれている。2004年、2005年ともレギュラーシーズン1位となるも、2004年からパ・リーグで導入されたプレーオフでは2年連続で敗退。さらに2006年、2007年と3位でプレーオフに進出するも、また敗退(2007年からCS)。
病を乗り越えて指揮を執った王貞治監督に代わり、2009年から秋山幸二監督が就任。しかし、その年はファーストステージで楽天に敗れ、翌2010年はソフトバンクとして初のリーグ優勝を果たすも、3位のロッテにファイナルステージで敗れてしまった。
2011年には内川聖一や細川亨らの補強が功を奏して、圧倒的な数字でリーグ優勝、CSも負けなしで突破。日本シリーズも制覇し、ついに「呪い」は解消された。だがしかし、ここ10年のポストシーズンでの戦績は、前述したようにやはり悪い。今季加入した李大浩や中田賢一、若い柳田悠岐や中村晃など、「呪い」を知らない新戦力たちの活躍がカギになりそうだ。
◎本命視される巨人にも……気になる「呪い」とは?
最後に触れておきたいのが、セ・リーグ優勝した巨人のポストシーズンの成績について。3年連続、通算45度目(1リーグ9度、セ・リーグ36度)の優勝を果たした巨人は、一見、呪いとは無縁のチームに見える。
ところがポストシーズンの戦績という観点では、気掛かりな点もある。セ・リーグでCS制が初採用された2007年には、リーグ優勝するも中日に敗れて日本シリーズ出場ならず。翌2008年は雪辱を果たして日本シリーズに出場するも、西武に3勝4敗で日本一は成らなかった。
2009年はリーグ3連覇と7年ぶり21度目の日本一を果たすも、翌年から2年連続でリーグ3位。CSに出場するも、2010年にはファイナルステージで中日に、2011年はファーストステージでヤクルトに敗れている。一昨年、2012年には、3年ぶりに日本一を達成したが、2013年はCSを勝ち抜くも、楽天に敗れてV9以来の40年ぶりの連続日本一は成らなかった。
こうしてみると、やはり巨人ほどの戦力を持ってしても、ポストシーズンを勝ち抜いて日本一の座に就くことは非常に難しいことが解るだろう。過去2年のリーグ優勝ほど、圧倒的な差を見せつけられなかった今季の巨人。果たして日本一奪回なるか、注目したい。
■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは@suzukiwrite