◎今週の野球みどころランキング[12月3日(月)〜12月9日(日)]
『野球見どころランキング』は、週はじめの時点で注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。
アジア野球選手権で日本が5連覇
―――大学野球・社会人野球
2009年以来3年ぶりとなるBFAアジア野球選手権が、11月28日から12月2日の日程で台湾の台中市洲際棒球場で開催されました。5連覇を狙う日本は、
大学生3名、社会人21名、計24名のアマチュア選手で編成された代表チームを派遣。国内のプロ選手に加えアメリカのマイナーリーグでプレーする選手やソフトバンクの陽耀勲らも招集した中華台北(台湾)との初戦に2対1で勝つと、パキスタン、フィリピン、やはりプロを集めた韓国、中国まで5連勝。見事5連覇を達成しました。アマ編成で台湾、韓国のプロチームに勝利したのは快挙といえます。
大学生で招集された選手は、
大瀬良大地(九州共立大)がフィリピン戦に、
吉永健太朗(早稲田大)が韓国戦で先発しともに好投。打者では
山川穂高(富士大)が一塁手として先発出場し活躍しました。
中日が久々にアメリカ人メジャーリーガーと契約
―――ストーブリーグの話題
先週に続き、NPB各球団と外国人選手との契約が発表されています。ほぼ固まったのは広島。投手ではセットアッパー・ソコロヴィッチ、打者では巧打者タイプのルイスを補強し、バリントン、ミコライオ、エルドレッド、ニックとは契約を延長。バーデン、サファテは放出しました。エルドレッド、ニックの両者を残したのは意外と言えば意外。得点力不足を長打力で補おうという強い意志がうかがえます。栗原健太の復調もあれば、チームの形は一変するかもしれません。なおサファテはクローザー不在で涌井秀章を泣く泣く回していた西武が獲得した模様。収まるべきところに収まったというところでしょうか。
ロッテはホワイトセル、ロサ、レデズマとの再契約を発表。グライシンガーとも交渉を継続しているようです。阪神もマートン、メッセンジャー、スタンリッジと再契約。この2球団も外国人については、ほぼ固まったといえるでしょう。
中日は一足早く自由契約としていたネルソンに加え、ソーサ、ソト、ブランコも一斉放出すると見られていました。これが11月30日に提出した契約保留選手名簿に名前が載らなかったことで正式に決定。ネルソンはソフトバンクが、名簿に載らなかった3選手はDeNAが獲得に乗り出すと噂されています。中日はこの穴埋めを図るべく
元フィリーズの内野手・ルナ、さらに
ダイヤモンドバックスの投手・バーゲセンの獲得を発表。バーゲセンは中日としては久々のアメリカ人メジャーリーガーの加入となります。
BCリーグ&四国アイランドリーグplus新入団情報
―――日本・独立リーグ情報
11月30日に
BCリーグドラフト会議があり、6球団合計で41名が指名されました。2011年春・夏、12年春の甲子園に出場した山内達也(横浜高)が福井ミラクルエレファンツに、11年春・夏の甲子園に出場した田村勇磨(日本文理高)が地元・新潟アルビレックスBCに指名されています。また、高卒時にアトランタ・ブレーブスとマイナー契約した2メートル左腕・関口将平が福井から指名を受けました。関口は今年、
関西独立リーグの紀州レンジャーズに所属し、後期リーグの奪三振王に輝いています。
四国アイランドリーグplus(以下、四国IL)は12月9日に開催される四国ILドラフト会議を前にトライアウトが行われています。このトライアウトは1次テストが関東、関西、四国、九州の4地区で開催され、特別合格となると、四国ILのいずれかのチームに入団することが内定。1次テスト合格となると、4地区での合格者が集まり、四国ILドラフト会議直前に行われる2次テストが行われ、その合格者がドラフト会議で割り振られる、という形になっています。
このように独立リーグでも、まだ野球に燃える男たちの戦いが繰り広げられています。
WBC、侍ジャパンの開幕戦の相手はブラジル
―――WBC
先日、日系人主体のブラジル代表がWBC本戦出場が話題になりました。そのブラジル代表が、本戦1次ラウンドではA組に入り、開幕戦で日本と戦うことが明らかになりました。主将の松元ユウイチ(ヤクルト)は「自分は日本の野球に育てられたので、正直対戦したくなかった。ただどこと当たっても強いので精いっぱいやるしかない」と少しだけ困惑。侍ジャパンにとっての戦いやすさで言えば、情報を得やすい日系人選手を多くそろえるブラジルでしょうか。ただ、失うものは何もないと腹を括ったブラジルが、日本から学んだ細かい野球をきっちりやってくるとすれば、一発勝負ではちょっと嫌な相手です。
巨額&長期契約が続発
―――MLB
1日、MLBでは大物選手が次々契約を発表。ヤンキースの左腕ペティット(1200万ドル/約9億9000万円プラス出来高)、同じくクローザーのリベラ(1000万ドル/約8億2000万円)など両者とも40歳代ということもあり、単年ではありますが一定の条件で契約を結んでいます。
長期契約ではブレーブスがレイズからFAとなっていた外野手B.J.アップトンと5年契約で合意。総額で約7500万ドル(約61億6000万円)という巨額の契約と伝えられています。B.J.アップトンは現在28歳。脂の乗り切った5年間に対する投資であることがこの金額に反映されているのでしょう。なお、同世代のレイズのチームメイトだったロンゴリアはメジャー1年目の2008年に6年契約結んでいましたが、先日さらに当初のオプションを含め9年延長する契約が結んだとのこと。ロンゴリアは2022年まで身分が保障されたことになります。日本は前年の活躍で年俸が決まる印象がありますが、メジャーにおける年俸は基本的に未来に対する投資なのだと改めて思わされる話です。
12月1日には、球団側が「オファーする予定がない」とする40選手がノンテンダーFAとして公示されました。いよいよ各チームが来季の編成に向けて集中的に動くウインターミーティングに突入するメジャーリーグ。ヤンキース残留が基本線で交渉中と伝えられるイチロー(ヤンキースFA)、オファーを待つ福留孝介(ヤンキースマイナーを自由契約)、高橋尚成(パイレーツFA)や上原浩治(レンジャーズFA)、松坂大輔(レッドソックスFA)の所属先についても詰まっていくことでしょう。
なお挑戦組では、終始快調に交渉を進めていた藤川球児(阪神FA)が、カブスと契約。3年総額2100万ドル(約17億2200万円)+出来高という日本人の抑え投手としては史上最高となる好条件での契約を勝ち獲っています。
契約更改真っ盛り
―――ストーブリーグの話題
メジャーの巨額の年俸の話のあとだと少しスケールダウンしますが、NPBでも契約更改が進んでいます。まずアップ組。石井一久(西武)は10勝5敗、防御率3.33ながら1億9000万円(2000万円増)プラス出来高で更改。ちなみに交渉は球団納会のついでにゴルフ場で行われたのだとか。ヤクルトで活躍した田中浩康は2年2億5000万円プラス出来高で契約。昨季は1億円だったの単年では25%のアップ。4番も打った新井良太(阪神)は1200万円から2.33倍の2800万円に。
最優秀中継ぎの初タイトルを手にした増井浩俊(日本ハム)は4000万円から9000万円の5000万円増。同じ日本ハムでは期待の若手野手3人・西川遥輝、中島卓也、杉谷拳士がそれぞれ1000万円(400万円増)、1000万円(460万円増)、1200万円(480万円増)で更改。投手の期待の星・中村勝は1350万円(570万円増)。日本ハムの各選手は、存在感や可能性から考えると本当に格安に映ります。
日本一の巨人は宮國椋丞は1600万円(970万円増)。50試合に登板し8勝1敗、防御率1.61 を記録した中継ぎ投手・福田聡志は4000万円(2700万円増)でサイン。なかなかの好評価を受けました。広島の投手陣のブルペンを支えた今村猛は先輩の前田健太の同年齢時の金額を抜く5000万円(3000万円増)。
ダウン組では、楽天を自由契約となっていた岩村明憲が古巣ヤクルトと契約。年俸は90%ダウンとなる1500万円。まさに出直しといった契約に。チームは日本一となりながら影の薄かった巨人の藤村大介は2200万円(200万円減)、同じく亀井義行は3800万円(400万円減)。4勝に終わったロッテの渡辺俊介は8000万円(4600万円ダウン)。
揉めているのはDeNA勢。クローザーとして仕事を果たした自負があると見られる山口俊はダウン提示があったと不満を表明。球団側と意見の相違があるようですが、テンションはかなり高めでとことんやり合いそうな雰囲気。中村紀洋も当初は3000万円(1500万円増)に不満顔でしたが結局白旗。サインしたようです。(金額は推定)
野球殿堂入り候補者発表
―――野球殿堂
プロ野球などで顕著な活躍をした選手や監督・コーチ、またプロ、アマチュアを超えて野球の発展に大きく寄与した人物に対して、その功績を称える
野球殿堂の候補者発表が行われました。
プロ選手で「引退後5年を経過して、その後15年間(つまり引退後20年以内)」が対象となるプレーヤー表彰は、前年までの17人の候補者に、佐々岡真司氏(元広島)、古田敦也氏(元ヤクルト)ら4人が加わりました。「引退した監督、コーチ、審判で引退後6カ月以上経過している」か、「プレーヤー表彰の有資格者で、引退後21年以上経過している」ことが対象となるエキスパート表彰では、前年までの7人の候補者に、
ランディ・バース氏(元阪神)、
ブーマー・ウェルズ氏(元阪急ほか)らが新候補者に。
今年の表彰ではプレーヤー表彰で惜しくも13票足りなかったブーマー氏はエキスパート表彰に変わりますが、ここでどのように票が動くか、また得票数を着実に増やしてきた
外木場義郎氏(元広島)や
平松政次氏(元大洋)が選出されるか、といったところを注目したいところです。殿堂入りの発表は2013年1月11日に行われます。
一方アメリカの野球殿堂では、新候補者に
バリー・ボンズ氏(元ジャイアンツほか)、
ロジャー・クレメンス氏(元レッドソックスほか)、
サミー・ソーサ氏(元カブスほか)らが加わりました。実績は殿堂入りに十分なものを残していますが、筋肉増強剤など禁止薬物の使用を認めたり、疑惑を指摘されたりした過去があった3氏の投票結果も気になります。こちらの結果は2013年1月9日に発表されます。
大谷と日本ハムの交渉は最終段階へ
―――ドラフト
大谷翔平(花巻東)と日本ハムとの入団交渉は1カ月にわたり続けられてきました。11月26日には栗山英樹監督同席のもと、最後と見られる交渉が行われ、あとは大谷の判断を待つのみと思われていました。ところが30日、大谷側から「もう一度話がしたい」という要請が日本ハムに入ったとのこと。前回の交渉直後はスポーツ紙の見解もバラバラ。「意思変わらず」「日ハム入団へ」と真逆の見方もあり、さっぱり先が読めないという状況でしたが、この要請により日本ハム入団という見方が優勢に。日本ハムもドラフト直後の「可能性はゼロ」発言から、よくもここまで持ってきたものです。本日3日、栗山監督が再び同席し本当の最終交渉が持たれる予定ですが、何をテーマに話し合われるのでしょうか。大谷と日本ハムの未来は?
阪神最後の恋人・福留の行方は?
―――MLB&NPB
金本知憲、城島健司の引退、藤川球児メジャー移籍により大きく下がる選手総年俸額を生かし、積極的な補強を行う阪神。最後の1ピースとして福留孝介を狙っています。DeNAや中日も獲得の意思があると見られていますが、マネーゲームになれば阪神の有利は動かず。メジャーでの評価もそこまで高くないと見られる福留が、金銭的に最もよい条件でプレーしようと考えれば、高い確率で阪神を選ぶことになるでしょう。もちろんお金だけじゃない何かを提示できれば情勢も変わるのでしょうが、それもすぐには思い浮かびません。
阪神は今オフ元ツインズの西岡剛と、オリックスのベテラン捕手・日高剛をFAで獲得。今季若手を起用して成長を促したポジションにも次々と外部からの戦力を充ててしまう姿勢には、ファンからも批判的な声が聞こえてきます。もし福留まで獲れば、その声はさらに大きくなることでしょう。
あるスポーツ紙では「アマ球界の指導者が不信感を抱いている」と伝え、いずれは有力選手からもそっぽを向かれる可能性もあると予想しています。強くも弱くも簡単にはならせてもらえない人気球団は本当に大変です。ただ、「試合に出られないから、選手が阪神を選ばなくなる」というのは違うような気も。ヤンキースに入り目を輝かせはじめたイチローのように、「スター選手の中でプレーしたい」と思う選手こそが本物なのではないでしょうか。
福留のメジャー指向は強く、今のところはアメリカでの契約が優先されると見られます。決着はウインターミーティング以降となるでしょう。
第3回WBCの代表候補メンバー選考
―――WBC
11月28日に侍ジャパンのスタッフ会議が行われ、WBCI(「WORLD BASEBALL CLASSIC INC」の略称で、WBCの企画、運営などを担う大リーグ機構国際部門内の組織)に提出する予備登録メンバーを選出しました。当初はアメリカで12月3日(日本時間4日)に1次ラウンドに出場する16カ国の予備登録メンバーが発表され、これと同時にWBC観戦チケットを1次発売をする、といった予定でした。しかし、いくつかの連盟がメンバーを選出できない、という連絡があったため、予備登録の期限は来年1月16日に延期となりました。主にメジャーリーガーが多く在籍する国で、参加不参加の連絡を受けていないことが原因のようです。日本と同じく、他の国でもメジャーリーガーの参加問題があるようですね。バックアップメンバーを含め登録した33人の日本代表候補は予定通り、12月4日に発表されます!
このメンバー選出会議から正式発表まで日があるため、各メディアが我こそ先に新情報を、と報道が続きました。球界関係者が認めるケースもあれば、山本浩二監督と親交の深い星野仙一楽天監督が自ら具体的に選手名を明かすことも。また、今季両リーグで最下位だったDeNAとオリックスからの選出はなく、特にオリックスのT−岡田や
平野佳寿など有力視されていた選手も選ばれなかった、と断言されています。
さて、このメディアの報道は正しかったかどうかは、4日の発表をお楽しみに!
(まとめ)
大谷と日本ハムの交渉が最終局面を迎えています。もし日本ハム入りが決まったとして、一度は「メジャーに行く」と言って他球団からの指名を断ってしまった大谷に対する批判は、一定量出てきそうです。ただ、160キロのボールを投じる豪腕といえども、まだ18歳。心の揺れを寛容に受けとめて、「がんばれよ!」と声援を送る野球ファンがたくさんいることを願います。何より、球場に行く楽しみがひとつ増えるわけですし。