7月15日〜28日(西京スタジアムほか)
秋春連覇の早鞆とセンバツ出場の南陽工
伝統校も虎視眈々と甲子園行きを狙う!
●対極のエースに物語性アリ
「事実は小説よりも奇なり」
邑澤大志を擁する山口が、選手権予選の決勝に進出するあらすじの小説「熱球」(山口OB・重松清著、作中では「シュウコウ」と呼ばれる高校の設定は山高=ヤマコウ)を越えるかもしれない。「コントロールこそ投手の生命線」を実践し、進学校エースらしくクレバーにタイミングを外し、とらえた打球も野手の正面をつく。
対極にあるのが原将輝(早鞆)の投球スタイルだ。福岡の筑豊出身らしく気風のいい投げっぷりのストレートは、足腰のバネを利かせてキレキレだ。一方で、打者の打ち気を外す嗅覚も鋭く、高レベルの野球センスが光る。
球のキレならば伝統の左腕エースを継承する野口峻平(宇部商)に注目だ。フォームの完成度が高く、10キロほど幅のあるストレートだけでも緩急がつけられる。野口と左腕の双璧をなす山野太一(高川学園)は、最速142キロのストレートが光る。あと一歩の勝ち運をたぐり寄せられるか。
宇部商が左腕なら、センバツ出場の南陽工は、本格派右腕の伝統をつむぐ重冨将希と藤本大輔の二枚看板を誇る。重冨はセンバツ1回戦・市和歌山戦を4安打完封のパーフェクトなデキ。春季大会は登板を回避したが、夏の帰還を待ちたい。藤本は捕手兼任だけあって、球速よりも制球を重視し、安定感がある。
本格派右腕の森本兼生(防府)はノーラン・ライアン(元エンゼルスほか)ばりのフォームからリズムがいい投球を見せる。渡邉朋輝(小野田工)は粘りの投球と牽制・フィールディングのうまさで勝負する。ともに4番・エースでチームを牽引する中心選手だ。
遊撃手兼任の高ポテンシャル・泉雄太(熊毛南)と球持ちのいい井町竜三(大津緑洋)の2年エースたちは、今夏から追いかけたい。