【2015夏の高校野球】《石川観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド
7月11日〜26日(石川県立野球場ほか)
石川の夏盛り上げるプロ注目右腕トリオ
ノーシードの星稜、ミラクル再現なるか
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●スカウト注目の竹田・小孫・谷川
金沢は昨秋、松商学園戦でサヨナラ負けしセンバツ出場を逃したが、竹田和真はその試合、腰痛で登板を回避。本来は最速143キロのストレートとタテのスライダーを駆使し、精密な制球力と独特の間合いで打者を翻弄する。
遊学館は、軸がぶれず力強いストレートを投げ込む小孫竜二と、1年時からマウンド経験豊富な春V投手・本定史好が安定感を増す。
昨夏、甲子園のマウンドを経験した二刀流右腕・谷川刀麻(星稜)も奇跡のエース・岩下大輝(現ロッテ)を追い越そうと燃えている。
21世紀枠選出から漏れた金沢商の丹保佳三は冷静な投球術が持ち味。前健将(石川高専)のクロスファイアーが威力十分で、淡々と投げ込む姿も好感度が高い。遊学館を最後まで苦しめた大村和寿(小松商)は躍動感あふれる投球と、打たれても4つ目のベースを踏ませない粘り強さを併せ持つ。星稜を無得点に抑えた津幡の林雅貴、寺地良太の両左腕もまだまだ磨きがかかりそうだ。鵬学園は、粗削りながら将来性豊かな左腕・池下裕貴、下半身を鍛えれば楽しみな櫻井剛義など好投手が揃う。昨夏のリベンジを狙う木村幸四郎(小松大谷)は、精神的にもたくましくなった。低めの制球とブレーキのかかった変化球に加え、眼力が鋭くなり人間力も高めている。
▲竹田和真(金沢)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●中川・廣橋の両長距離砲に注目
金沢は個性派選手が多い。中川広大は、どんな球種も一球で仕留める職人技で滞空時間の長いアーチを描く。岩井一平は、試合展開を読み状況に応じた打撃を身につけた。この他、守備の要・新井凌、気迫あるリードの上田直也、一振りに懸ける勝負師・架谷匠なども重要な戦力となっている。
遊学館もタレント揃いだ。入学時から注目を集める廣橋敬大は、伸び悩みがささやかれるものの芯でとらえれば地をはう打球が見られるだけに、復調を期待したい。高本康平は今春、打率.458で3本塁打。金沢との決勝では竹田のスライダーを右翼スタンドに叩き込み、スラッガーの片鱗を見せた。この他、長短打を狙い打ちできる松田和樹、切り込み隊長の飯田小次郎、観察力に優れ意外性のある内潟凌太、鮮やかなグラブさばきと正確なスローイングの土倉徳など実力者が名を連ねる。
昨夏の「ミラクル星稜」では、ツボにはまれば長打力ある佐竹海音、投手も務める福重巽、経験豊富な梁瀬彪慶、リストが強くバットコントロールが特筆な森田涼雅などが、今春で初戦敗退した屈辱を晴らそうとケンカノックに励む。
小寺愛斗(金沢商)は勝負どころでの配球が光る捕手。平良怜河(小松商)は一瞬のスキを突き積極果敢に次の塁を狙う鋭い野球観の持ち主。大丸開聖(小松工)は引きつけてアーチを描く。小谷内優志(鵬学園)は、派手さはないが柔らかなグラブさばきと堅実な守備で投手に安心感を与える。富永勇樹(金沢学院東)はシュアな打撃が特徴。小松大谷は、パワーヒッター野原克成、ガッツマン清水大輔、卓越した野球頭脳の鈴木研志などに期待が集まる。
また、放物線を描く竹腰拓朗(津幡)、勝負強い山口陸斗(飯田)の他、畑中大輝(輪島)の素材にも要注目だ。
▲廣橋敬大(遊学館)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●3強の一角・星稜がノーシードで波乱の予感
今年の石川県はプロ注目の逸材が複数おり、戦力が分散した混戦模様だ。タレント揃いの遊学館、エースと4番が軸の金沢、甲子園経験者が残る星稜の3強が中心となるだろう。昨夏のリベンジを誓う小松大谷やそろそろ結果を残したい鵬学園、4月から金森栄治監督が教諭となりイズム浸透の金沢学院東も侮れない。津幡をはじめ小松商、小松工、金沢商など公立勢も自力をつけている。星稜、金沢商、小松大谷、鵬学園などがノーシードとなるため初戦から波乱に満ちた試合が予想される。
地区勢力ピラミッド