バーバロ・カニザレスは、キューバ出身の36歳。
2009年アトランタ・ブレーブスでメジャーデビュー。その後、独立リーグやメキシコを経て14年シーズンよりソフトバンクに入団するも、1軍出場は2年間で僅か22試合。その成績は、46打数15安打、打率.326、1本塁打、5打点。
外国人枠の関係で滅多に出場できないものの、1軍に上がればしっかり爪痕を残し、そしてジェイソン・スタンリッジやエディソン・バリオスら、投手が1軍昇格するのと入れ替えで、再び2軍に出戻る生活。
「他のチームだったら試合に出られたのに」
「外国人枠なんか無ければいいのに」
きっとそう愚痴りたかったに違いない。しかし、カニザレスは腐ることなく打ちまくる。
【2014年】ファーム成績
179打数/54安打/打率.302/8本塁打/33打点
【2015年】ファーム成績
284打数/92安打/打率.324/18本塁打/56打点
昨年はウエスタンリーグで本塁打、打点の二冠王。打率も同僚・上林誠知に次いで2位。ファーム4連覇に大きく大きく貢献した。
李大浩がいなくなったってカニザレスがいれば…。松田宣浩がFA移籍で騒がれた時ほどファンに悲壮感がなかったのは、そのせいかもしれない。
「じゃあ李大浩が抜けた穴はカニザレスで決定だね」
いやいや。そう甘くないのが、ソフトバンクの選手層の厚さ。
カニザレスが入るポジションは一塁かDHだろう。
そのライバルの前に、まずホークスの外野事情から書かせていただく。2015年は柳田悠岐、内川聖一、中村晃の3人が、いずれも135試合以上出場。中村が一塁に回る時は福田秀平が84試合出場している。
ここに2013年の首位打者・長谷川勇也、昨年ウエスタンリーグ首位打者の上林、さらには未完の大器・江川智晃だってレギュラー争いに名乗りを上げる。
外野の枠は3つしかないので、そうなると内川や中村、長谷川がファーストやDHへと流れる可能性もある。
それから昨年60試合一塁を守ったユーティリティーの明石健志、チャンスに強い吉村裕基だってレギュラーの座を虎視眈々と狙っているし、2014年ウエスタンリーグ本塁打王の猪本健太郎もいる。
今季の助っ人野手は、カニザレスだけ。ソフトバンク入団3年目にして、初めて外国人枠に悩まされることなくシーズンに挑めるはずのカニザレス。しかし…スタメン出場を勝ち取るのは、DHを含めても10人だけ。
「他のチームだったら出られたのに」
「ソフトバンクだけ15人出場できたらいいのに」
カニザレスがベンチで不貞腐れることになるのか。それとも2年分の鬱憤をバットで晴らすのか? カニザレスのレギュラー獲得への道は続く。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。ライター、イベント関連など、スポーツ関連の仕事を精力的にこなしている。北海道生まれなのに、ホークスファン歴約40年。99年ダイエー初Vを福岡ドームで観戦するなど、全国を飛び回りながら、1軍2軍問わずプロ野球を追いかけている。