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あの輝きをもう一度…。松坂大輔のライバルたち”松坂世代”の今を語る

球界に訪れた世代交代の大きなうねり


 山本昌、小笠原道大といった、球界を代表する選手が相次いで引退を表明した今シーズン、日本野球界に世代交代の大きなうねりを感じたファンは多いだろう。

 世代交代と言えば、かつての最強世代にも世代交代の大きな波が押し寄せている。その最強世代とは、松坂大輔(ソフトバンク)を中心とする、1980年生まれの世代、俗に言う「松坂世代」だ。


 1998年の高校野球は、松坂大輔とそのライバルたちとの死闘でかつてない盛り上がりをみせた。そして1999年から2000年代、その死闘を演じた選手たちが、こぞってプロの世界の門を叩く。

 1998年ドラフト会議では総勢75選手が指名され、そのうち松坂世代と呼ばれる高校生の指名は30選手。さらにそのうち8選手が1位指名を受けた。大学生、社会人選手に逆指名制度があったなかでのそれは、異例の事態とも言える。しかもこの年の大学生、社会人選手には、上原浩治(レッドソックス)、岩瀬仁紀(中日)など、1年目から活躍し、その後、日本を代表する選手が多数現れた、大豊作の年だった。

 松坂世代の期待値の高さ、実力がうかがえる一例と言えるだろう。

ライバルたちとの再戦に燃えた2000年代


 その4年後の2002年ドラフトでは、大学に進学して活躍した松坂世代が大挙入団。世代の厚みはさらに増す。

 甲子園で激闘を演じたライバルたちがプロで再会し再び熱戦を展開する、かつてないこのドラマ性に、ファンは酔いしれた。やがてこの世代の選手が、各球団の中心選手となり、松坂世代は長年に渡ってプロ野球界を席巻したのだった。

 そんな主力級としてチームを牽引してきた松坂世代だが、近年は年齢やケガ、若手の台頭から、レギュラーから外れる選手や、ユニフォームを脱ぐ選手も増えてきている。

 最大で94名いた松坂世代の選手も、現役は2015年開幕時で29名。そして今シーズンも、木佐貫洋(日本ハム)ら、数名が引退を表明。さらに現役が減ってしまった。

押し寄せる次世代の波。復権の鍵を握るのはあの男


 そのわずかになった現役選手も置かれている立場は苦しい。今シーズン、開幕一軍メンバーに登録された選手は10選手。その中で、年間通じて1軍に在籍していたのは木村昇吾(広島)と渡辺直人(西武)の2選手のみだ。

 最多出場は村田修一(巨人)の101試合。投手では44試合の長田秀一郎(DeNA)となっている。この結果、1999年に松坂世代の選手が入団してから初めて、投手、野手ともに規定到達選手がいなかった。また、オールスターゲーム選出ゼロと、最強世代の終焉を感じさせる結果が続いた。

 しかし、これだけの黄金世代、そう簡単に終わりを迎えて欲しくはないと感じている野球ファンは多いのではないだろうか。残念ながら日本復帰をしてから投板なしに終わった松坂大輔。彼の不振が、世代の終焉感を加速させた事は否めない。

 目指すは来季、黄金世代の頭目が、再びその力を見せつけてくれれば、松坂世代の健在を世に知らしめることにもなるだろう。「松坂世代」が再びその輝きを取り戻すことを期待してやまない。


文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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