今シーズンで9年目を迎える中村悠平がブレイクしたのは2014年のこと。相川亮二と併用されながらキャリアハイとなる99試合に出場。規定打席には届かなかったものの打率.298の成績を残し、「打てる捕手」として名を挙げた。
翌2015年には正捕手としてチームを14年ぶりの優勝に導き、侍ジャパンにも選出。ソフトバンク、日本ハムに代表されるように捕手併用制が当たり前となっている時代に「正捕手」として君臨した。
しかし、昨シーズンは打撃、リード面ともに不振が続き、8月以降は西田明央にスタメンを譲る日々が続く。シーズン後は秋季キャンプから、再び西田と横一線でポジション争いを繰り広げてきた。そして春季キャンプ、オープン戦と結果を残し、今シーズンの開幕スタメンを勝ち取ると、ケガによる離脱はあったものの、ここまで正捕手としてチームを支えている。
真中満監督は辞任することになったが、新監督となっても中村悠平は来シーズンも正捕手候補筆頭だろう。
衣笠剛社長兼オーナー代行が、清宮幸太郎(早稲田実)を視察していることから推測されるように、今年のドラフトでは清宮を1位で指名する方針だ。となると、1位指名が確実視される中村奨成を獲得する可能性は事実上消えたといっていい。
さらに、昨年のドラフトでは古賀優大(明徳義塾高)、育成で大村孟(BCリーグ・石川ミリオンスターズ)と2人の捕手を獲得している。チーム編成の観点からも中村奨成は指名しないと予想される。中村悠平の「筆頭」の地位はひとまず安泰だ。
中村奨成がプロ入りを果たした近未来、「捕手の中村が凄い!」と言われたときに、「もちろん中村悠平だよね?」と当たり前のように言えることをヤクルトファンとしては願っている。
文=勝田聡(かつた・さとし)