安部友裕:1989年6月24日生まれ
2007年高校ドラフト1位
丸佳浩 :1989年4月11日生まれ
2007年高校ドラフト3位
野村祐輔:1989年6月24日生まれ
2011年ドラフト1位
菊池涼介:1990年3月11日生まれ
2011年ドラフト2位
土生翔平:1989年8月16日生まれ
2011年ドラフト4位
田中広輔:1989年7月3日生まれ
2013年ドラフト3位
ブレイディン・ヘーゲンズ:1989年5月12日生まれ
今季広島へ入団
他球団では菅野智之、小林誠司(ともに巨人)、中田翔(日本ハム)など、日本を代表する選手を擁する89年世代。
ちなみに、菅野と田中は、東海大相模高、東海大でチームメイト。野村、小林、土生は、2007年夏の甲子園の準優勝校・広陵高のチームメイトでもある。そんな奇妙な縁のある89年世代だが、活躍選手の多さでは広島がナンバーワンといえるだろう。
菊池、丸のキクマルコンビは、2013年からチームの顔として定着。コンビの前を打つ1番打者を、今季から田中が担い、ここまでチームを牽引している。打撃力で躍進する広島の最大のウリが、1番田中、2番菊池、3番丸の89年トリオなのだ。
また投手の野村は、現在、チームメイトのクリス・ジョンソンと並んでハーラートップタイの6勝を挙げ、投手陣の柱の1人として活躍。メジャー挑戦のため退団した前年までのエース・前田健太(ドジャース)の穴を埋めようと奮闘中だ。
そんな彼等の中でも、特に注目したいのが、2007年高校ドラフト1位の安部友裕。今季は、オープン戦で結果を出し、2013年以来の開幕1軍入りを勝ち取った。
シーズン当初は中日から移籍してきたエクトル・ルナのバックアップに甘んじていた安部は、ルナの負傷により三塁手としてスタメンでの出場が激増。6月7日現在、43試合の出場で打率.294、3本塁打、18打点と、ルナの穴を補う活躍をみせている。
特に目立つのが、チャンスでの強さと、長打の多さだろう。長打率.468は、規定未満ながらリーグトップクラス、得点圏打率も.333と、こちらもリーグ上位の成績だ。
内野手としてはかなりの大柄ともいえる181cm、81kgの恵まれた体格を持ち、大型内野手としての期待は高かった安部。しかし、その体格とは裏腹に、課題はパンチ力不足にあった。その課題を克服するためにオフシーズンは筋力トレーニングに励んで肉体改造をしたことが、今シーズンの躍進につながったといえる。
元々、2軍では格の違う活躍を見せてきた安部。盗塁王のタイトルを獲得するなど、走塁力はチーム屈指だ。また内野は全ポジション、時として外野も守れるユーティリティプレーヤーとしても存在感を示している。そんな安部が打撃開眼となれば、待望の大型内野手の誕生を期待せぬわけにはいかない。
ドラフト1位で入団しながら、自分よりも下位で入団した選手、あとから入団した選手に先を越されてきた。特に同級生でもある、菊池、田中が二遊間で活躍する様を見ている安部は、恐らく歯がゆい気持ちもあっただろう。
それでも腐ることなく邁進してきたからこその今だ。遅れてきたドラフト1位の巻き返しに注目したい。そして、広島を担うであろう1989年生まれの選手達のこれからにもさらに注目していきたい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)