古谷優人は1999年生まれの18歳。北海道帯広市の隣町・幕別町の出身。江陵高では1年春からエース格として活躍するも、3年夏の北北海道大会ベスト4が最高成績で甲子園出場はなし。
しかし、最後の夏に北北海道大会2回戦で154キロを記録。準々決勝では大会新記録の20奪三振をマークするなど、スカウトの注目度は高かった。
地元北海道のスポーツ新聞では、北海道日本ハムファイターズのスカウトが絶賛と掲載され、筆者は「日本ハム入りが濃厚かな?」と思っていたところ、ソフトバンクが2位指名。
投手層が厚いソフトバンクは古谷を3軍からじっくり育成。3、4年後に先発ローテションとして期待……と予想していたが、ところが1年目の開幕から絶賛好調なのだ。
古谷の初実戦登板は4月2日の3軍戦。四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグス(以下、高知)との一戦に6回から登板。2回を投げ1安打無失点、奪三振2。最速151キロをマークするなど上々のデビューを飾る。
続く4月16日の高知戦では早くも初先発し、4回を無失点ピッチング。4月23日の徳島インディゴソックス戦では、5回を1安打無失点、奪三振6。3軍ながらプロ初勝利をマークした。
その後も週1ペースで先発。現時点で7試合に登板し2勝1敗。防御率0.96。その数字もさることながら、28回を投げて投球回を上回る29奪三振が秀逸。独立リーグ相手とはいえ、十分すぎる結果を出している。
ちなみに、古谷が登板した試合で捕手を務めるのはドラフト3位ルーキーの九鬼隆平だ。秀岳館高3年時に春夏甲子園でベスト4入りを果たし、主将として臨んだBFA U-18アジア選手権では今井達也(西武)、堀瑞輝(日本ハム)、寺島成輝(ヤクルト)らとのバッテリーでチームを優勝へと導いた。
3軍の舞台でバッテリーを組むこの高卒ルーキーコンビが、将来のソフトバンクを支える存在となってほしいと、ソフトバンクファンの筆者は熱望している。
ソフトバンク3軍は、7月から毎年恒例の韓国遠征が待っている。ここで結果を出せば、2軍戦での登板も見えてくる。
球威のあるストレートとキレのあるスライダーが武器の古谷。何枚あっても足りない先発投手の一角、いや平均年齢が上がりフレッシュな人材が欲しい中継ぎか、いやいやサファテの後継者に……。その未来には様々な可能性が広がる。
1軍登板はまだしばらく先のことだろうが、古谷は大きな期待をかけるに十分なポテンシャルだ。
(成績は5月29日現在)
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住の47歳。広告代理店運営、ライター、MC。生まれも育ちも北海道ながらホークスファン歴約40年。先週の札幌ドーム3連戦はソフトバンクの2勝1敗。上林誠知のホームランはお見事! ビジター席ではしゃぎまくったのであった。