前橋育英高で、2年時に夏の甲子園で優勝。そして2014年のドラフト1位で西武に入団した高橋光成。
昨年は前半戦こそ2軍で過ごしたが、8月2日に満を持して1軍に登録されると、8度先発を任され、5勝を挙げてみせた。
西武の高卒ドラ1でエースに上り詰めたのは松坂大輔と涌井秀章だが、いずれもルーキーイヤーに初勝利を記録して2年目の飛躍につなげている。
松坂の場合は、1年目から2ケタ勝利を達成しているのでレベルが違うが、涌井を例にすれば、1年目1勝が2年目12勝とジャンプアップ。それだけに、5勝も挙げた高橋が活躍すると考えるのは当然のことだろう。
先程はレベルが違うと書いた松坂だが、1つの白星に焦点を当てると、高橋も同等に見えてくる。それが上記のスピード完封劇だ。
高卒ルーキーの完封というだけでも、西武では、松坂以来16年ぶりの記録。涌井すら達成できなかったもの。それを松坂と同じタイミングで達成してしまうのだから、まさに大器と言える。
ちなみに初完封を達成した相手も、松坂と同じロッテだった。
シーズン90勝。日本シリーズ4勝1敗。昨年のソフトバンクは、誰が見ても絶対的な強さを誇っていた。高橋の2勝目は、その強者を向こうに回してのものだった。
しかも高橋は、デビュー戦でソフトバンクに土を付けられているので、その相手にリベンジを果たしたわけだ。5回4失点4四死球と、決して褒められた内容ではないが、「勝利」という結果は変わらない。
そして曲がりなりにも王者を倒したことで、自信が芽生えたのだろう。件の初完封劇は、ソフトバンク戦で勝利を挙げた次の試合であるから、この流れは偶然では片付けられない。
このように高橋光成のルーキーイヤーの成績からは、西武のエースの系譜に乗ったことが伝わってくる。
高卒1年目の投手が白星を挙げるのは、非常にハードルが高い。しかしそれをクリアできれば、輝かしい未来が待っているということを、先人は示していた。
そして高橋は、勝ち星を挙げ、先人と並ぶ力を持っていることを証明してみせた。だからこそ、今年の秋にどれだけの結果を残しているのか、考えるだけで胸が高鳴る。
文=森田真悟(もりた・しんご)