1953(昭和28)年8月28日、日本の民放テレビ第1号となる日本テレビが放送を開始。以降、日本テレビが巨人戦を中心にプロ野球を放送してきたことで、全国民に親しまれるコンテンツになったのは間違いない。
近年こそ「視聴率が取れない」として地上波での野球中継は数が激減しているが、日本シリーズやWBCなど、一大イベントの際はまだまだテレビの前に釘付けになって野球に夢中になる層は多い。そこで、民放テレビが始まった記念日にちなみ、プロ野球中継のはじめて物語を紐解いてみよう。
日本で初めてプロ野球のテレビ中継が行われたのは1953年8月23日のこと。日本テレビ開局の5日前、同年2月に民放に先んじてテレビ放送を始めていたNHKによって、阪急対毎日戦が午後7時から生中継された。
当時はもちろん白黒放送。ナイターであることを視聴者に伝えるため、最初の映像は球場や選手ではなく、夜空に浮かぶ満月の姿だった。
ちなみに、この日には他にも、広島対巨人や大阪対大洋といった試合も組まれていた。ただ、どの試合もダブルヘッダーで、午後7時の放送開始時にどんな展開になっているかが読めなかった。そのため、午後7時試合開始の阪急対毎日戦が栄えある「最初の中継試合」に選ばれたのだ。
民放テレビで最初にプロ野球が中継されたのは、日本テレビが開局した翌日、1958年8月29日のこと。中継カードは巨人対大阪(現在の阪神タイガース)。まさに「伝統の一戦」と呼ぶにふさわしい。
野球中継が行われた、といっても、まだ開局したばかりのテレビ放送を一般家庭で見ることなど夢のまた夢。そのため、都内か神奈川県内などに約40カ所ほど設置された街頭テレビにはプロ野球中継を一目見ようと黒山の人だかり。押しのけ合いながら画面を注視し、「本物を見ているようだな」と感心しきりだったという。
CS中継やパ・リーグTVなど、プロ野球の楽しみ方がますます多様化を極めている昨今。それでも、野球人気の低下や競技者数の減少などに歯止めをかけるためには、これからも地上波に頼る部分は大きいはずだ。だからこそ、今一度のその歴史を振り返っておきたい。