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《シーズン序盤に潜むもの・チーム編》セ界の中心は広島。日本ハム沈下の下克上にソフトバンクがノー!

4月は苦戦を強いられた日本ハム栗山英樹監督

 週刊野球太郎では連載『何かが潜むとき…… シーズン序盤のプロ野球を忘れるな!』を、今週からスタート。ついペナントレースの先々に目がいきがちだが、開幕からの約1カ月には見過ごせない何かが潜んでいるはず。そこで、シーズン序盤に起こった出来事を忘れないように記しておく。

 第1回はシーズン序盤の12球団のチーム状況をまとめてみたい。

【セ・リーグ】今季も広島を中心にセ界は回る


 まずは昨季の最終順位とゲーム差、今季序盤の順位とゲーム差を見てみよう。

【2016年の最終順位とゲーム差】
1位:広島
2位:巨人 17.5差
3位:DeNA 2.0差
4位:阪神 5.0差
5位:ヤクルト 1.0差
6位:中日 5.0差

【2017年の開幕約1カ月経過順位とゲーム差】
1位:広島
2位:阪神 2.0差
3位:巨人 0.5差
4位:DeNA 2.0差
5位:ヤクルト 1.0差
6位:中日 1.0差

(成績は5月2日現在)

 昨季は2位に17.5ゲーム差をつけるぶっちぎりのリーグ優勝を決めた広島。今季もその勢いのままに、開幕2戦目から10連勝(1分け含む)と、スタートダッシュを決めた。さすがに勝ち疲れもあったか、その後はペースを落としているものの、首位をキープしている。

 引退した黒田博樹の穴に加え、咽頭炎で療養中のジョンソンを欠く先発ローテーションが開幕早々に心配された。しかし、4月に3勝の岡田明丈、同2勝の中田廉や九里亜蓮、1勝どまりながら防御率1点台の大瀬良大地らが埋めた。脇腹痛により戦線離脱しているクローザー・中崎翔太の穴は、今村猛がフォローしている。

 攻撃陣も、出遅れ気味だった菊池涼介が4月11日に5安打3打点と大爆発して以降、復調気配を見せており、戦力が固まりつつある。セ・リーグは、やはり広島中心に回っていきそうだ。

 阪神は新戦力の糸井嘉男、開幕から4番に座る福留孝介、慣れない三塁をこなしながら打撃が復調した鳥谷敬らベテランの活躍が光る。メッセンジャー、マテオ、ドリスの外国人投手トリオも貢献度は高い。それだけに、ブレイクした昨季ほどの働きができていない原口文仁、?山俊のもうひと頑張りがほしい。

 巨人は菅野智之が3連続完封とエースとしての責任を果たしている。打線も、新戦力のマギーが打率3割前後をキープ。WBCの影響も見せず首位打者争いをリードする坂本勇人、打点リーグトップの阿部慎之助と中軸は安定。広島を追いかける戦力はある。

 DeNAは開幕から貯金を作れていないが、最大連敗は3にとどめており、粘り強く戦っている。5月2日終了時点で本塁打1本という筒香嘉智の打撃が懸念材料だが、打率.274、得点圏打率.308とそこまで深刻なレベルではない。筒香が本塁打量産態勢に入れば、チームも浮上するだろう。

 ヤクルトは川端慎吾、畠山和洋という両タイトルホルダーのケガが痛い。加えて山田哲人までもが打率.194と低迷。戦力が整うまで苦しい戦いが続きそうだ。

 開幕から5連敗(1分け含む)とつまずいた中日は、チームの得点圏打率.201と打線の勝負弱さが目立つ。ビシエド、ゲレーロの両外国人が立ち直れるか。投手陣では、3、4月を未勝利で終えた大野雄大、吉見一起の奮起にも期待したい。

【パ・リーグ】下克上ムードをソフトバンクが覆す!?


 続いてはパ・リーグ。昨季の最終順位とゲーム差、今季序盤の順位とゲーム差は以下の通り。

【2016年の最終順位とゲーム差】
1位:日本ハム
2位:ソフトバンク  2.5差
3位:ロッテ 12.5差
4位:西武  8.0差
5位:楽天  2.0差
6位:オリックス 5.0差

【2017年の開幕約1カ月経過順位とゲーム差】
1位:楽天
2位:オリックス 1.0差
3位:ソフトバンク2.5差
4位:西武 1.0差
5位:ロッテ 5.5差
6位:日本ハム 1.0差

(成績は5月2日現在)

 4月中旬は、昨季のAクラスとBクラスがそっくり入れ替わった順位となっていた今季のパ・リーグ。

 しかし、ソフトバンクが5月2日の3位・4位の直接対決を制し3位に浮上。ムードメーカーの松田宣浩が復調気配で、川崎宗則という推進力も加わった。ここからさらに上がっていきそうな雰囲気を漂わせている。

 ただ、昨年の下位2チームである楽天とオリックスも好調だ。

 楽天は岸孝之という大駒が加わって、投手陣の厚みが増した。開幕時のインフル禍などもあり、まだ1勝どまりだがエンジンが掛かってくれば計算が立つ投手。若手セットアッパーから松井裕樹につなぐブルペン陣も安定感がある。

 打線も茂木栄五郎とペゲーロの攻撃的1、2番コンビだけでなく、下位の銀次や岡島豪郎らが好調。これにウィーラーとアマダーが打ち出すと他球団にとってはさらに脅威だ。過去に指揮を執った近鉄、日本ハムでは、いずれも就任2年目にリーグ優勝を成し遂げた梨田昌孝監督のジンクスが、楽天でも実現なるか。

 オリックスは、投手では金子千尋、野手では小谷野栄一、中島宏之といったここ2年間くすぶっていた実力者たちがようやく持ち味を発揮。躍進の最大要因となっている。

 好調だった新外国人のロメロが、ハッスルプレーが災いし、左膝負傷で戦線離脱してしまったのは痛いが、復帰予定の6月までチームが持ちこたえられれば、3年ぶりのAクラス入りも十分に見えてくる。

 西武は秋山翔吾、源田壮亮、浅村栄斗、中村剛也、メヒアと続く上位打線は12球団屈指の破壊力。ただ、非力な下位打線が不安材料。また、ウルフ、菊池雄星、野上亮磨に続く先発陣の奮起がカギをにぎる。4月23日には5まで伸ばしていた貯金も、5月2日の敗戦で1に減った。ここが正念場だが……(5月4日時点で借金1に)。

 日本ハムは、ケガ人続出かつ残った選手たちも不調という苦しい滑り出し。4月中旬から痛恨の10連敗を喫してしまった。近藤健介が好調をキープしているだけに、打率1割台に低迷している中田翔、レアードの一刻も早い復調が待たれる。2012年にリーグ優勝した翌年は最下位に終わっているだけに、その二の舞だけは避けたいところだ。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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