昨シーズンは9名の「トリプルダブル(仮)」達成者が生まれた。今シーズンはどうだったのだろうか。「トリプルダブル(仮)」達成者を調べてみた。
【トリプルダブル(仮)達成者】
(数字は代打/代走/守備固めでの途中出場試合数)
比屋根渉(ヤクルト):22/19/14
上田剛史(ヤクルト):18/15/29
三輪正義(ヤクルト):14/11/22
工藤隆人(中日):13/24/30
関根大気(DeNA):17/16/21
城所龍磨(ソフトバンク):12/21/21
岡田幸文(ロッテ)13/15/18
聖澤諒(楽天)12/14/22
今シーズンの「トリプルダブル(仮)」の達成者は両リーグ合わせて8名。昨シーズンから1名減ったが、ほぼ横ばいといえるだろう。2年連続で達成したのは三輪正義(ヤクルト)、岡田幸文(ロッテ)の2名のみとなった。
これら達成者を見ると、驚きの結果がある。なんと、ヤクルトから比屋根渉、上田剛史、三輪正義と、3人も輩出されているのだ。
バレンティンの代走、守備固めが必要ということを差し引いても多い数字といえるだろう。これは先発投手が長い回を投げることができず、早めに代打を出され、ダブルスイッチで守備につく選手が多いということが背景にあると推測される。
工藤隆人(中日)、関根大気(DeNA)、城所龍磨(ソフトバンク)、岡田幸文(ロッテ)、聖澤諒(楽天)は各球団のファンからすると“なんとなくわかる”といった選手ではないだろうか。スタメンで出場することもあるが、今ひとつ突き抜けていない。そんな印象の選手たちだ。
両リーグ合わせて8人というのは、どのような意味合いを持つ数字なのだろうか。野手の各種データを引っ張ってみた。
今シーズンの3割打者は両リーグ合わせて15名、30本塁打以上の打者は両リーグ合わせて6名となっている。「トリプルダブル(仮)」は3割打者より少なく、30本塁打以上の打者より多い。
1球団に1人いない程度の数字といえるのだろう。
CSに出場した上位球団でトリプルダブル(仮)を達成しているのは城所、と岡田の2名と少ない。これにはどういう因果関係があるのだろうか。
リーグ優勝を果たした広島、日本ハムを見てみよう。広島は“タナキクマル”こと田中広輔、菊池涼介、丸佳浩と、鈴木誠也らは固定されている。そして、日本ハムも中田翔、中島卓也、田中賢介、レアード、西川遥輝がほぼ固定メンバーで、途中でベンチに退くことはほとんどないといっていい。
リーグ優勝をするためにはレギュラーの固定が必要となり、結果として「トリプルダブル(仮)」達成者が減るといったところだろうか。
ホームランバッター、エースもチームには欠かせない。しかし、同じように代打、代走、守備固めで出場する選手も、レギュラーではないもののチームに欠かせない役割を担っている。その全てをこなすことができるマルチプレーヤーたちの活躍に心から拍手を贈りたい。
文=勝田 聡(かつた さとし)