多くのファンがアライさんに期待するのは、やはり豪快な本塁打だろう。オールスターゲームでも一発を放ち、ド派手なフォロースルーを見せてほしい。
■アライさんにやってほしいこと<その1>
大谷翔平の160キロをホームラン
リーグが違うライバル同士の対決はオールスターゲームならではの醍醐味。代表的なところを挙げれば、桑田真澄(当時巨人)と清原和博(当時西武)のKKコンビによる夢の対決があった。KKコンビほどの因縁はなくとも、スター同士のめったに見られない対決には胸が躍る。
今年、各リーグ随一の人気を誇るアライさんと大谷翔平(日本ハム)の対決が実現すれば大いに盛り上がるはず。そして、大谷の160キロのストレートをアライさんがスタンドに放り込んで、豪快にバットを放り投げる……。想像するだけで広島ファンは感涙ものだ。
そもそも、大谷が投げられるのか、という問題があるが、ここは妄想の世界ということでお許しいただきたい。
■アライさんにやってほしいこと<その2>
ミスタータイガースを超える4打席連続弾
1978年7月25日のオールスターゲーム第3戦では、全セの3番に座った「ミスタータイガース」掛布雅之(当時阪神)が3打席連続本塁打という離れ業を見せた。
一方、7月7日のヤクルト戦でバックスクリーンに劇的な代打逆転ホームランを放つなど、アライさんの「ここぞというときの一発」は今季も衰え知らず。
オールスターゲーム独特のお祭りムードのなか、ファンの後押しで気持ちが乗れば4打席連続弾も夢ではない!? ミスタータイガースを超えるのは、ミスターアライさんだ!
ときとしてみせる意表を突いたプレーもアライさんの魅力だ。オールスターゲームでも、ファンの想像を超えるプレーを見せてほしい。
■アライさんにやってほしいこと<その3>
SHINJOよりもド派手なホームスチール
オールスターゲーム史に残る意表を突いたプレーといえば、2004年7月11日に新庄剛志(当時日本ハム)が決めた単独ホームスチールが真っ先に頭に浮かぶ。
派手好きでサービス精神たっぷりの新庄が「1番目立つプレー」として狙ったこの単独ホームスチールは、オールスターゲーム史上初の偉業となった。
実はアライさんも今シーズン、4月8日のヤクルト戦で決勝点となるホームスチールを決めている。しかも、これまでに通算3度のホームスチールを決めており、ホームスチールは隠れた特技なのだ。
オールスターゲームで「お得意」のホームスチールを決めれば、爆発的な盛り上がりを見せるに違いない。
■アライさんにやってほしいこと<その4>
松井稼を超える1試合5盗塁
1997年7月23日のオールスターゲーム第1戦では、松井稼頭央(当時西武、現楽天)が、盗塁阻止率ナンバーワン捕手・古田敦也(当時ヤクルト)から4盗塁を奪う快足ぶりを見せた。
一方、アライさんはここまで通算43盗塁。決して足は速くはないものの、今シーズンは2盗塁を決めている。少ない出場機会で、昨シーズンを超える盗塁を記録し、ホームスチールも決めているとなれば、走る気は十分。脚力に衰えはないと見ていいかも。いや、それどころか進化しているかもしれない。
パ・リーグを代表する捕手の送球をかいくぐるアライさんの盗塁を、ぜひとも見たいものだ。
■アライさんにやってほしいこと<その5>
古田以来22年ぶりのサイクルヒット
1992年7月19日のオールスター第2戦では、古田が史上唯一のサイクルヒットを記録している。
オールスターゲームに出場するレベルの好投手から4安打を打ち、なおかつ3本の長打を打たなくてはいけないサイクルヒットの難易度は計りしれない。
奇しくも、今年のオールスターゲーム第2戦の開催地は、古田がサイクルヒットを決めたZOZOマリンスタジアム(当時は千葉マリンスタジアム)。強風にさらされるZOZOマリンスタジアムは風向き次第では何が起こるかわからない球場だ。奇跡の風がアライさんにサイクルヒットをもたらすかもしれない!?
■アライさんにやってほしいこと<その6>
とにかく一生懸命なアライさんが見たい
本塁打も意表をついたプレーも劇的な活躍もアライさんの魅力だが、最大の魅力は一生懸命なプレースタイルだ。
一生懸命すぎるが故にときにコミカルに映ってしまう。そんな不器用でまっすぐな部分にファンは惹かれているのだ。そんなアライさんの姿が見られれば、それだけでファンは大満足なのだ。
例えば、歴代6位の併殺打もアライさんの代名詞のひとつ。オールスターゲームという舞台でも、いい意味で、アライさんらしく併殺打を打ち、笑ってしまうほど一生懸命に顔を歪めながら一塁に激走する姿を見たくもある。
劇的な活躍で、派手なガッツポーズを決められればそれが一番なのだが、結果が出なくてもアライさんが必死なプレーを見せてくれたら十分だ。結果を超え、見るだけでいい。もはや、アライさんとはそういう存在なのだ。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)