よく語られる好調の理由は、1番・茂木栄五郎、2番・ペゲーロの破壊力だ。彼らの奮闘が楽天のメインエンジンであることは間違いない。
しかし、今回、注目したいのは岡島豪郎の「隠れた1番打者」ともいうべき活躍劇だ。
岡島はプロ6年目の27歳。昨オフに生涯の伴侶を得て、背番号も「27」から1ケタの「4」に変わった。今季は主に7番、8番で起用されているが、実にいい仕事をしている。
ここまでの成績は打率.342(リーグ5位)、出塁率.407(同8位)。なかでも、その本領が最も発揮されるのは、イニングの先頭打者として打席がまわったときだ。
通算206試合で1番打者を任されてきた過去の経験が生きるのだろう。
今季、92打席のうちイニングの先頭で立った30打席の出塁率は驚異の.600! 卓越したバットコントロールを生かし、「隠れたリードオフマン」として出塁。後続の藤田一也、嶋基宏がつなぎ、1番・茂木にバトンを渡す。
下位から上位への理想の流れが構築できている背景には、岡島の高い出塁能力があったのだ。
「隠れたリードオフマン」の活躍劇をいくつか紹介しよう。5対4で勝利した4月2日のオリックス戦。1点を追いかける9回、岡島は先頭打者として打席に立った。すると、オリックスのクローザー・平野佳寿から安打を放ち、ペゲーロの逆転決勝2ランホームランを呼び込んだ。
3対1で勝利した4月6日のソフトバンク戦。ソフトバンクの先発・バンデンハーク攻略の口火を切ったのも、岡島の先頭打者安打だった。実に13球を投げさせた挙句、相手バッテリーにとってダメージの大きい三塁への内野安打で出塁。楽天はここから先制の2点を挙げた。
2対1で勝利した4月30日の日本ハム戦も同様だ。同点で迎えた9回、先頭打者として日本ハムのクローザー・増井浩俊と対決。息詰まる「フルカウント10球勝負」を制し、一、二塁間を破る右前打で出塁。その後、バントで二進すると相手の適時失策で本塁生還。決勝点をもぎ取った。
2対1で勝利した5月4日のオリックス戦では、オリックスの先発・ディクソンに13球を投げさせた。1点を追う3回、先頭打者としての打席だ。
序盤の2回をともに三者凡退で抑えたディクソンに対し、フルカウントから7球続けてファウルで粘る。そして、13球目を中前へ弾き返して出塁。その後、茂木の犠牲フライで同点のホームを踏んだ。
初優勝に輝いた2013年は、後半戦から1番に固定された岡島が機能し、優勝をつかんだ。あれから4年、今度は打線の下位で「隠れた1番打者」の働きをみせ、2度目の優勝に向かって貢献していく。今後も要注目だ!
(成績は5月8日現在)
文=柴川友次
NHK大河「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴を定点観測するブログを運営中。