1(中堅):大村直之
打率.271/16本塁打/53打点/5盗塁
2(二塁):水口栄二
打率.290/ 3本塁打/30打点/1盗塁
3(左翼):ローズ
打率.327/55本塁打/131打点/9盗塁
4(三塁):中村紀洋
打率.320/46本塁打/132打点/3盗塁
5(右翼):礒部公一
打率.320/17本塁打/95打点/7盗塁
6(一塁):吉岡雄二
打率.265/26本塁打/85打点/2盗塁
7(DH):川口憲史
打率.316/21本塁打/72打点/0盗塁
8(遊撃):ギルバート
打率.267/ 6本塁打/24打点/3盗塁
9(捕手):的山哲也
打率.177/ 5本塁打/25打点/1盗塁
3番・ローズ、4番・中村紀洋が怒涛の勢いでOPS1.000超をマークすれば、5番・礒部公一、6番・吉岡雄二、7番・川口憲史も打点を量産。歴史的に見てもすさまじい打線といえるだろう。チーム打率.280、770得点はいずれもリーグトップだ。
しかし、この年の近鉄がマニアに愛されるのは、投手陣の成績が理由だ。ひとまず、先発・リリーフ陣を並べてみたのでご覧いただきたい。
■先発陣
前川勝彦
28試合:24先発/12勝9敗/投球回140.2/防御率5.89
門倉健
32試合:21先発/8勝5敗/投球回123.1/防御率6.49
バーグマン
18試合:18先発/10勝4敗/投球回107.2/防御率4.18
山村宏樹
23試合:16先発/7勝6敗/投球回92.2/防御率5.83
パウエル(JP)
14試合:14先発/4勝5敗/投球回80.0/防御率4.95
赤堀元之
9試合:8先発/1勝3敗/投球回48.2/防御率5.36
岩隈久志
9試合:8先発/4勝2敗/投球回43.2/防御率4.53
エルビラ
6試合:6先発/1勝1敗/投球回24.2/防御率5.47
■リリーフ陣
大塚晶文
48試合:2勝5敗/26セーブ/投球回56.0/防御率4.02
岡本晃
61試合:1先発/4勝4敗/8セーブ/投球回102.1/防御率2.73
関口伊織
53試合:0勝1敗/投球回35.1/防御率4.33
柴田佳主也
42試合:0勝0敗/1セーブ/投球回20.2/防御率4.35
湯舟敏郎
37試合:1先発/1勝0敗/投球回33.2/防御率5.35
香田勲男
36試合:2勝3敗/1セーブ/投球回47.2/防御率3.97
盛田幸妃
34試合:2勝0敗/投球回21.2/防御率7.06
愛敬尚史
30試合:2勝0敗/投球回32.1/防御率1.67
石毛博史
25試合:3勝1敗/2セーブ/投球回30.1/防御率5.04
三澤興一
21試合:7勝0敗/投球回33.2/防御率4.01
チーム防御率は4.98でリーグ6位。どう見ても優勝チームの投手陣ではないのだ。前川勝彦が12勝を挙げているが、防御率は5.89。
この年の防御率トップはミンチー(ロッテ)で防御率3.26。ラビットボールで超絶的に打高投低の時代だったが、規定投球回数をクリアしたのは前川のみで、その前川も防御率10傑には入っていない。
及第点の成績を収めたのは、リリーフの岡本晃、愛敬尚史ぐらい。しかし、三澤興一が21試合のリリーフ登板でなぜか7勝を挙げるなど、いてまえ打線を背景に強烈な勝ち運を発揮した。
ちなみにこの年には当時高卒2年目の岩隈久志が1軍デビュー。初登板では8回裏から登板。9回裏に1点リードを守りきれずに同点に追いつかれたが、10回表にいてまえ打線が大爆発し、17対12で初勝利が付いている。大味なデビュー戦だった。
優勝の要因はいてまえ打線が超強力だったという一点だが、それにしても「いてまえ投手陣」の成績には心のざわめきを抑えられない。思いがけない美しさとはこのことだろう。
文=落合初春(おちあい・もとはる)