新型コロナウイルスの影響が心配だが、予定通りならば3月20日に開幕する今年のペナントレース。「開幕1軍で試してほしい!」と思わせる、各球団で気を吐いている即戦力ルーキーを紹介しよう。
ドーピング違反により出場停止処分を受けたバティスタとの契約を打ち切った広島。右翼・鈴木誠也、中堅・西川龍馬は確固たるスタメンだが、左翼の1枠は固まっていない。
そこで試してほしいバットマン候補は、ドラフト2位の宇草孔基だ。ドラフト時点では全国的に注目されていなかったが、キャンプから取り組んでいたノーステップ打法をモノにしつつあり、オープン戦でもシュアなバッティングを披露した。185センチの上背でパンチ力もあり、脚力も十分だ。
一時的に2軍に降格しているが、これ3月13日に開幕するウエスタン・リーグでテストするためだろう。野間峻祥、高橋大樹、長野久義などもいるが、早く1軍の投手に慣れる機会を与えたい逸材だ。
即戦力大学生投手を3人獲得したヤクルトで頭一つ抜けてきたのは、4位の大西広樹。大阪商業大時代はオーソドックスなフォームだったが、プロに入り、大きめの二段モーションを取っている。
それが決め球であるフォークにフィットし、快投を連発。2月23日の日本ハム戦では、3者連続三振でオープン戦デビューを飾った。
リーグ戦で大学通算27勝2敗、防御率1.10とゲームメイク能力はかなり高い。目に見える武器を強化したことで、先発ローテにかなり近い存在になってきた。
甲斐野央が手術で離脱し、窮地のソフトバンクブルペン陣では、ドラフト3位の津森宥紀に出番が回ってきそうだ。
速球派サイド右腕として鳴らした津森だが、やはり変則タイプとあって、プロの打者もなかなか打ちにくそうにしている。抑えるだけではなく三振も多いことは、リリーフとしての資質を如実に示しており、開幕からいいスタートダッシュを切れそうな投手の一人だ。
安田尚憲に期待がかかるロッテだが、しぶとく1軍に食らいついているのは、ドラフト5位の福田光輝。法政大では4年時に打撃開花したが、バチンと強い打球を打てる堅実性はフロックではない。
二塁、遊撃、三塁をこなせるユーティリティー性も魅力。三木亮や平沢大河がケガで出遅れており、内野のサブ枠に収まるチャンスが巡ってきている。
現実的には安田尚憲がどこまでやれるのか不透明で、中村奨吾もシーズンを通して見れば、波があるタイプ。福田が1軍レベルに対応できるようになれば、ロッテにとっては頼もしい保険になりそうだ。
持ち味を存分に発揮しているのは、ドラフト3位の村西良太。サイド気味のスリークオーターから低めへの投球術を売りにしており、3月4日のロッテ戦ではマーティンにソロ本塁打を許したのみで、3回1安打1失点に抑え込んだ。
フォーム上、対左打者は自他ともに認める課題だが、内角への攻めを意識しており、ここに来てハマり出したようにも見える。低めの球筋、低めからさらに落とす緩急など、独自性が豊かでもっと見たくなる投手だ。
(津森宥紀の写真は東北福祉大時代)
文=落合初春(おちあい・もとはる)