フォーシームはいわゆるストレート。人差し指と中指を、ボールの縫い目に垂直に掛け、真っすぐに腕を振って投げる。素直な軌道でキャッチャーミットまで届くボールだ。
ヒジやスナップの使い方でも違ってくるが、いわゆるスピンの効いたボールは、打者の手元で浮き上がるように感じるという。
全盛期の藤川球児(阪神)が投じた「火の玉ストレート」はこのボールの典型例だ。
ボールの縫い目に沿うように人差し指と中指を置いて投げるツーシーム。フォーシームよりも空気抵抗が少ないため、打者の手元で微妙に変化する。WBCで話題になった「手元で動くボール」の多くはツーシームだ。
ただ、各投手によって縫い目への指の掛け方、力の入れ具合などが微妙に違うため、変化のパターンは幅広い。
例えば、黒田博樹(元広島)は、人差し指のみ縫い目に掛け、中指は縫い目と縫い目の間に置いて投げるツーシームを多用していた。軌道はシュートに近いものとなり、これを左打者の内角に投げると、ボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる「フロントドア」となる。
また、山崎康晃(DeNA)が決め球とするツーシームは、指を開き気味にして握るため、フォークのような軌道で鋭く落ちる。
前述したように、フォーシームやツーシームは縫い目の通過数によって定義されているが、ワンシームは、打者から縫い目が1本に見えるような回転をするボールがそう呼ばれる。日本ハム時代のダルビッシュ有(レンジャーズ)が投げたことで一躍話題となった。
これもツーシーム同様、投手によって握り方が異なり、ボールの軌道もさまざま(打者の手元で小さく変化する場合が多い)。菅野智之(巨人)は人差し指と中指の間に縫い目が通るように握り、親指をしっかり縫い目にかけて投げている。
文=藤山剣(ふじやま・けん)