「東京野球ブックフェア」が産声をあげたのは2011年のこと。以降、開催時期や場所は変われど、毎年文化系野球ファンを喜ばせてきた人気イベントだ。
「『野球本』は毎年数多く刊行され、野球好きでもとても追いかけきれないほどの数があります。そして、直球そのままに『野球』を描いたものではなくても、『これは野球的だな』とか『こんなところに象徴的に野球が出てくる』というものもたくさんあります。これは他のスポーツにはほとんどないこと。『野球』というスポーツが日本に文化として根づいているからこその特殊な状況だと思います。そんな、ものすごく大きなくくりでの『野球本』を一つに集めたら面白いのではないか…という思いつきでスタートしました」(林さん)
そんな「思いつき」で始まったイベントが、7年目の今年は遂に2DAYS開催。認知が広まり、ファンが定着して来た証拠だ。
「これまで、毎年日曜日に限って開催をしてきましたが、一日だけだと、どうしても予定がある方や、日曜は毎週仕事で行けない、というご意見も聞きました。開催を重ねるにつれご来場者の方も増え、会場が狭く感じることもあり、このたび二日間開催に踏み切りました」(林さん)
このイベントの魅力は、書店で見かける本や雑誌以外にも、ここでしか出合えない同人誌系の野球本が並ぶところにある。筆者が個人的に驚かされたのは、審判をテーマにした本を見つけたとき。ほかにも古今東西のさまざまな「野球珍書」が並ぶ。
「野球に関する表現を個人的にしている人も多く、それはZINE、ミニコミの形だったりすることも多々あります。大手の、どこの本屋さんにでもあるものだけではなく少部数でも、個人が作ったものであっても『野球本』としてたくさんの野球×本好きの方に見てもらいたいという気持ちがあります」(林さん)
そしてもうひとつ、「東京野球ブックフェア」の名物ともいえるのが、豪華ゲストを招いての様々なトークイベント。今回は、下記の6企画が開催予定だ。
【3月11日(土)】
●野球ライターになるには〜21世紀を生き抜くライターの生き方
<11:30〜13:00>
●『オレたちのプロ野球ニュース』刊行記念
「プロ野球ニュース」キャスター対談:佐々木信也VS野崎昌一
※司会:長谷川晶一(『オレたちのプロ野球ニュース』著者)
<13:30〜15:00>
●『元巨人ファン』刊行準備記念
巨人ファンはつらいよ[菊地選手(元巨人ファン)×現巨人ファンの猛者]
<15:30〜17:00>
【3月12日(日)】
●審判偏愛トーク〜好きすぎて、元NPB審判に直接聞いてみたい!
<11:30〜13:00>
●この”野球マンガ編集者”がすごい!”
(登壇者:小学館・講談社・秋田書店の野球マンガ担当編集者)
<13:30〜15:00>
●広島カープレジェンド・古葉竹識さんトークイベント
※聞き手・グレート巨砲(『赤ヘル偉人伝』著者)
<15:30〜17:00>
(※それぞれ入場料・人数制限あり。トークイベントの詳細については「東京野球ブックフェア」トークイベント紹介ページ[http://yakyubookfair.com/?cat=15]へ)
「今回のトークイベントでは、なんとあの古葉竹識さんにご登場いただくことに! そのほか、今回は2DAYSということでトークイベントも合計6本と、きっと何かしら興味を持っていただけるトークがあるはずです」(林さん)
このほか、昨年好評だったコーヒースタンドの出店をはじめ、Tシャツをその場でシルクスクリーンで刷るサービス、野球占いや記念撮影スペースなどなど、これまでにないイベントも目白押しとなっている。
「『マニアックな空間なのでは?』『野球に詳しくないと行けないのでは?』と不安に思う方もいらっしゃるようです。でも、そんなことはまったくありません。『野球、ちょっと好き』というくらいでも十分楽しめる内容ですし、知らなければ知らないほど『こんな世界があったのか!』と感じていただけると思います。イベント自体は入場無料ですし、ぜひお友達と、ご家族と、デートで、ふらりとお立ち寄りいただければと思います」(林さん)
◆東京野球ブックフェア2017
日時:3月11日(土)、3月12日(日)11時〜18時
会場:IID世田谷ものづくり学校(東京都世田谷区池尻 2-4-5)
アクセス:東急田園都市線「池尻大橋」駅下車:徒歩約10分/東急田園都市線・東急世田谷線「三軒茶屋」駅下車:徒歩約15分
文=オグマナオト