各球団の外国人選手の起用法を探る連載企画「育成? 大物狙い? 12球団別外国人選手の運用方針を探る!」。今回は日本ハムとオリックスの運用方針とその成果をチェックしたい。
(※成績は9月26日現在)
■日本ハムの外国人投手
トンキン/マルティネス/ロドリゲス
■日本ハムの外国人野手
レアード/アルシア
イニングイーターのメンドーサを昨季終盤に放出し、さらにリリーフの柱だったマーティンも放出。大谷翔平のメジャー挑戦とともに助っ人も大幅な人員整理に打って出た日本ハム。レアードを除く、4選手が新顔になった。
投手陣は今季新加入となった先発のマルティネスが大当たり。10勝10敗、防御率3.49。154回2/3を投げ、役割を十分に果たしている。もともと「奪三振は少なく、ゴロで打ち取る技巧派タイプ」との蓋を開けてみないとわからない触れ込みだったが、メジャーでローテーションを張っていた実力はダテではなかった。
マーティンに代わる守護神候補として獲得したのはトンキン。こちらはやや不安定なところが顔を覗かせたが、49登板で18ホールド、12セーブ、防御率3.61。8月に3試合連続失点を喫するまでは防御率1点台。セットアッパーとしては及第点だろう。
トンキンが再調整の時期にロドリゲスも出番を得たが、7試合5先発で2勝2敗、防御率6.41と突出した結果は残していない。
野手ではレアードも及第点か。120試合で打率.233、26本塁打。打率の低さは織り込み済み。チームトップの26本塁打は評価できる。フロントは9月末から残留交渉を始めることを明言している。ただ、三塁が“本当に”守れる助っ人は稀少なので他球団の視線も気になる。
ポスト・大谷翔平が期待されたアルシアは5月中旬までは30試合で打率.287の数字を残していたが、左太もも裏を痛めると成績が急降下。アルシアが機能すれば、「5人の外国人選手で4枠を埋める省エネ運営」と褒めたかったが、そううまく事は運ばなかった。
来季の構想はレアード、マルティネス、2年契約のトンキンの3人が軸になりそうだが、マルティネスは今季年俸2億円+出来高。日本ハムフロントの合理的な“ハイブリッド経営”的には、大幅に面子が入れ替わる可能性もある。
■オリックスの外国人投手
アルバース/ディクソン/ローチ
■オリックスの外国人野手
ロメロ/マレーロ
オリックスは奇策に打って出た。開幕からアルバースとディクソンがローテーションを担っていたが、7月にローチを補強。なんとローテーションに助っ人投手3枚の体制をとったのだ。
アルバースは19登板で9勝2敗、防御率3.08。もはやエース格といっても過言ではない働き。ディクソンも18登板で4勝6敗、防御率3.55。打線の援護があればもっと勝てていたはず。両者ともに故障で離脱中だが、この間にほかの先発投手を鍛えておきたい。
助っ人先発3枚目のローチは、11登板で2勝3敗、防御率5.01。微妙な成績だが、そもそも昨季は韓国球界でプレーし、4勝15敗、防御率4.69。イニングイーターの役割を果たしてくれれば御の字と考えていたのは想像に難くない。まさしく緊急補強だった。ただ、もっと欲張った緊急補強もできたのではないだろうか。
評価が難しいのはロメロ。113試合で打率.238、24本塁打。今季から新たに年俸2億7500万円+出来高の3年契約(3年目は双方のオプション)を結んでいるが、得点圏打率.196などよろしくないスタッツも多い。それでも3番を担っており、なくてはならない存在だ。
マレーロは打率.201、11本塁打と低迷しており、フェードアウトした。そもそも助っ人4人ジャストでシーズンを始めなければならないほどの資金に困っている球団ではないはずだ…。編成は現有戦力をもっとシビアに見てもいいはずだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)