春季キャンプも佳境に入りオープン戦の足音も聞こえてきた。各球団とも開幕へ向けての調整を進めていているが、気になるのは、昨年とはどんなところが変わっているのか、ということ。
ここでは今年のキャンプに置ける「新」のつく選手、監督、コーチにスポットを当てたい。
何をおいてもまず取り上げたいのは佐々木朗希(ロッテ)。“令和の怪物”だけあり、ルーキーながら毎日のようにスポーツ新聞の一面を飾った。ブルペンでは自身の評価とコーチの評価が真逆になることもあったが、順調にきている様子。
ちなみにロッテが公式のYouTubeチャンネルでブルペンの様子を公開したところ、軽く100万回再生を超えた。さすがの一言だ。
ベテラン勢では松坂大輔(西武)が挙がる。フリー打撃で外崎修汰、源田壮亮といった侍ジャパンメンバーを無安打に封じるなど、こちらも仕上がりのよさを感じさせる。
平成の怪物はもう当時のような剛球を投げられないかもしれないが、培った経験がある。古巣に舞い戻って、ぜひとも“ニュー松坂”を見せてほしいものだ。
期待の新助っ人一番手といえば、アダム・ジョーンズ(オリックス)をおいてほかにはいない。メジャー通算282本塁打のスラッガーが、34歳という年齢で海を渡ってきた。まさにバリバリのメジャーリーガーなだけに、今からどんな成績を残すか楽しみだ。
キャンプではシート打撃で一度もバットを振らなかったりと独特の調整法を披露したが、マネをする選手が現れるのかというところも興味深い。
すでにNPBに在籍している外国人選手のなかで“新”という点では、ヤクルトから移籍した新天地・ソフトバンクに移籍したバレンティンが気になる。柳田悠岐、デスパイネ、グラシアルという球界屈指のクリーンアップがさらに強固になり、他球団の投手陣はこれまで以上に手を焼くことだろう。
ただ左翼の守備が緩慢と言われるため、もしかすると諸刃の剣になるかもしれない。吉と出るか凶と出るか、工藤公康監督のお手並み拝見といきたい。
今季は3つの球団が新監督就任となったが、とくに気になるのは高津臣吾監督(ヤクルト)と三木肇監督(楽天)だ。ともに故・野村克也氏の教え子であることから、胸に期するものがあるはず。恩師に報いる弔い合戦となる今年のペナントレースを制して日本シリーズで対戦したら、これほど胸に迫るストーリーはない。
2軍監督時代の実績では就任1年目でイースタン・リーグ優勝に導いた三木監督に分があるが、高津監督もこの春季キャンプで「メジャー流改革」を打ち出すなど創意工夫が伺える。
とりわけヤクルトは最下位からの船出となるため、野村流を汲んだ高津流の「弱者の兵法」にも期待したい。
“新”がつく選手や監督は毎年現れるが、今年もまた胸が躍る面々が名を連ねた。シーズンを通してどんな活躍を見せるのか、はたまたどんな采配でチームを勝たせるのか。早く“新”メンバーたちのシーズンが見たいものだ。
今年は五輪の影響で一週間ほど開幕が早い。中断期間もあるが、今となってはうれしい限りである。
文=森田真悟(もりた・しんご)