大活躍したものの翌年は尻すぼみ。プロ野球の世界ではよくあることだ。昨シーズン、大活躍したあの選手は今季大丈夫だろうか? 両リーグから1名ずつ取り上げてみたい。
パ・リーグでの注目はやはり大谷翔平(日本ハム)だ。右足首痛でWBCを辞退したが、野手としての開幕戦出場を目指し調整中。3月11日のイースタン・リーグの教育リーグで今シーズン実戦初出場を果たした。第1打席で中前打を放つと第2打席は右翼スタンドへライナーで飛び込む「今シーズン第1号」を放って見せた。
1軍では3月14日のDeNA戦で初出場。第2打席で逆方向へ二塁打を放つと、第3打席では特大の本塁打。その後も5試合で3本塁打を放つなど仕上がりは順調。今シーズンも「打者・大谷」は魅せてくれそうだ。あとは「投手・大谷」としていつから復帰できるか。
セ・リーグで注目したいのは昨シーズンの新人王・高山俊(阪神)だ。オープン戦では「2年目のジンクスなど関係ない」と言わんばかりに躍動し、打率.316、3本塁打、13打点と活躍。糸井嘉男がチームに加わり外野手のポジション争いが激化しているが、バットではしっかりと結果を出した。
守備に不安があるのは確かだが、金本知憲監督は高山をスタメン起用するだろう。昨シーズンもオープン戦では新人ながら14試合に出場し打率.327と活躍。春先だけ調子のいい打者を表すフレーズになぞらえ「春は高山」と言われないよう、シーズンを通じた活躍に期待したい。
昨シーズンのロッテのチーム本塁打数は80本。そのうち約3割にあたる24本塁打を放ったデスパイネがソフトバンクへ移籍。長打力、そして得点力不足を懸念されるロッテ打線だが、新打線で結果を出している。
伊東勤監督の狙いは、新外国人のパラデス、ダフィー、そして二塁へコンバートされた鈴木大地を並べることでの得点力向上。
「4番・パラデス、5番・鈴木、6番・ダフィー」や「3番・鈴木、4番・パラデス、5番・ダフィー」など複数のパターンを試しているが、「長打力を見込めないなら、連打で点を取ればいい」といったところだろうか。3選手とも打率は3割を超えており、シーズンでも期待できそうだ。
今季から、守備の負担を軽くするために鈴木を遊撃から二塁へコンバート。オープン戦を見る限り、このコンバートはうまくいっているようだ。
日本人選手よりも早期に高額年俸を手にする可能性が高い一方、結果が出なければ1年でクビとなってしまう助っ人外国人選手たち。昨シーズン来日し、結果を残した外国人選手たちの2年目の春はどのような成績だろうか。
野手陣ではビシエド(中日)がインフルエンザにかかりオープン戦を欠場。欠場前の成績は9試合で打率.172、1本塁打、3打点と状態は上がってこない。新外国人選手・ゲレーロの加入による相乗効果を期待したいが果たして…。
そのゲレーロ以上に心配なのがギャレット(巨人)だ。13試合の出場で打率.077、0本塁打、0打点と不調は深刻。マギーが加入したことで外国人枠争いも激しくなるだけに結果がほしいところだ。ここまでで一番の話題が、キャンプのフリー打撃で放った場外弾による車のフロントガラス破壊では寂しい限り。
投手陣ではルーキ(ヤクルト)が6試合に投げ6回、与四球1、奪三振9、防御率0.00と安定。真中満監督は守護神を秋吉亮と明言したことで、今シーズンもセットアッパーとしての起用が濃厚。勝利の方程式の一端を担う。
マーティン(日本ハム)は6試合に投げ防御率4.05。今ひとつの結果だが、それ以上にボークを2つ取られていることが気にかかる。昨シーズンも3つのボークを犯しており心配だ。今シーズンは増井浩俊の守護神復帰でセットアッパーが濃厚だが、ボークはなくしたい。
文=勝田聡(かつたさとし)