5月30日から明治神宮野球場では、東京六大学野球・春季リーグの最終節、伝統の早慶戦(慶早戦)が開催された。今季の優勝は、この早稲田大と慶應義塾大の2校に絞られていて、このカードで早稲田大が1勝すれば6季ぶりの優勝。慶應義塾大が連勝し、両校が8勝3敗の勝ち点4で並んだ場合、優勝決定戦が実施される予定だったり、両校応援部による挑発ポスターがネットやメディアで話題になるなど、盛り上がりは例年にも増して大きかった。試合は、早稲田大が1回戦は4−0で完封勝利し、優勝を決めると、2回戦は7−2で連勝。すべての対戦相手から勝ち点を奪う完全優勝で、今春の東京六大学リーグは幕を閉じた。
実は「六大学」の歴史よりも早慶戦の方が歴史は古く、1903年に第1回の対抗戦が行われている。ただ、あまりの熱狂ぶりに両校応援団は一触即発状態となり、1906年から早慶戦は中断された。
1914年、早稲田大、慶應義塾大に明治大を加えた三大学によるリーグ戦が発足。1917年には法政大が、1921年に立教大が参加し、五大学でのリーグ戦に発展した。ただ、この時点でも、まだ早慶戦は行われず、変則的なリーグ運用が行われていた。
1925年に東京帝国大学(現東京大)が参加。そして秋季リーグからは早慶戦も再開されることになり、ここに東京六大学野球連盟として正式に発足した。
六大学が開催されるのは明治神宮野球場だ。一般的には東京ヤクルトスワローズの本拠地として認知されているこの球場、実は建設にあたって尽力したのが東京六大学野球連盟だった。
東京六大学野球連盟が建設費の一部を負担することによって、連盟が発足した翌1926年に完成。このため、神宮球場の優先使用権はプロ野球ではなく、東京六大学野球連盟が有している。
今でこそ「人気」の面ではプロ野球、高校野球の後塵を拝している大学野球だが、かつては「人気」はもちろん、「実力」面においても日本のトップが六大学だった。
そのため、あげればきりがないほど数多くのプロ野球選手を輩出している。中でも有名なのが“ミスター・プロ野球”こと、長嶋茂雄(立教大)だ。その他、星野仙一(明治大)、山本浩二(法政大)と、近年の日本代表監督は六大学出身者が多い。
現在、メジャーリーグで活躍する日本人選手の中では、青木宣親、和田毅(ともに早稲田大)が東京六大学出身だ。
戦争での中断期間を除くと、春・秋あわせて計172回のリーグ戦が行われてきた(※1シーズン制もの年もあり)。その優勝回数の内訳は以下の通りだ。
1位:法政大 44回
1位:早稲田大 44回
3位:明治大 37回
4位:慶應義塾大 34回
5位:立教大 12回
6位:東京大 0回
今回の早慶戦を制した早稲田大が法政大と並び歴代1位に。早稲田大が前回優勝した2012年春のリーグ戦でも、法政大に優勝回数で並んだが、2012年秋のリーグ戦で法政大が優勝し、すぐに単独1位となった。それ以降、両大学の優勝はなく、再び早稲田大が並んだことになったが、単独1位の座を奪うのはどちらになるのか、今後も注目したい。