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セ・リーグ連覇に暗雲!? 歴史が語るカープの落とし穴! 独走の翌年は優勝できない?


 今季、2位・巨人に17.5ゲーム差をつけ、圧倒的な強さでセ・リーグを制した広島。日本シリーズでは惜しくも敗れたが、1年を通してセ・リーグでは敵なしの勢いを見せつけた。

 カープファンは「来季こそは日本一じゃあ!」と燃え、来季開幕前の優勝予想もおそらく「広島」がずらりと並ぶのではないだろうか。

 しかし、実は“独走”には落とし穴が潜んでいる。近代野球の色合いが強くなってきた1990年代以降、今季のカープに匹敵する、もしくは上回る独走を見せたチームは翌年、連覇を逃しているのだ。
 カープファンの歓喜に水を差すようで申し訳ないが、1990〜1991年の巨人、2002〜2003年の西武、2011〜2012年のソフトバンクの3例を見てみよう。

2002年優勝→2003年2位の西武


【2002年】
優勝:90勝49敗1分
(2位・近鉄と16.5ゲーム差)

 伊原春樹監督の就任1年目だった2002年の西武。松井稼頭央、小関竜也、カブレラ、和田一浩らを筆頭に超強力打線を構築。エース・松坂大輔が右ヒジのケガでシーズンの大半で不在だったが、松井がトリプルスリー、カブレラが当時日本最多タイ記録の55本塁打を放つなど打ち勝つ野球で独走した。

【2003年】
2位:77勝61敗2分
(首位・ダイエーと5.5ゲーム差)

 2003年は松坂が復活し、最優秀防御率を獲得。打線もカブレラが50本塁打を放つなど、全体的に機能し、前年より20得点を上乗せした。だが、優勝したダイエーがチーム打率.297というトンでもない「“超”超強力打線」を形成したため及ばず。稀に見る打高投低の波に飲み込まれた。


2011年優勝→2012年3位のソフトバンク


【2011年】
優勝:88勝46敗10分
(2位・日本ハムと17.5ゲーム差)

 2011年は横浜から加入した内川聖一が首位打者&MVPの活躍で打線を牽引。投手陣は秀逸の極みでホールトンが19勝、和田毅が16勝、攝津正が14勝を挙げ、チーム防御率は2.32。投打で完全無欠の戦力を誇った。

【2012年】
3位:67勝65敗12分
(首位・日本ハムと6.5ゲーム差)

 ホールトンが巨人に移籍し、和田がメジャー挑戦。先発の柱が2本抜けたが、攝津が17勝を挙げるなど、投手陣は大崩れせず。しかし、打線は小久保裕紀、松中信彦が下がり目になり、新加入のペーニャが21本塁打を放ったものの独走に至るほどの迫力はなく、噛み合わない戦いを余儀なくされた。

1990年優勝→1991年4位の巨人


【1990年】
優勝:88勝42敗0分
(2位・広島と22.0ゲーム差)

 球史に残る大独走を見せた1990年の巨人。22.0ゲーム差をつけての優勝はプロ野球史上最大差だ。
 圧勝の要因は磐石の先発投手陣。斎藤雅樹が20勝を挙げ、宮本和知と桑田真澄がそれぞれ14勝、木田優夫は先発・抑えで大活躍し、12勝&最多奪三振。香田勲男も11勝を挙げ、先発陣5人が10勝以上。夏場にケガから復帰した槇原寛己も9勝をマーク。打高投低のセ・リーグでチーム防御率2.83を記録し、後続をぶっちぎった。

【1991年】
4位:66勝64敗1分
(首位・広島と8.0ゲーム差)

 1991年は斎藤、槇原が不調に陥り、前年80勝を積み重ねた先発6人が56勝しか挙げられず。トレンドであるリリーフエース作りにも遅れを取る形になり、12年ぶりのBクラスに終わった。

 はたして来季の広島はどうなるだろうか?


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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