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【センバツ出場校紹介】秀岳館ら、実力校揃いの九州勢4校と、初戦対決も実現した21世紀枠3校


秀岳館(熊本・13年ぶり2回目)


アマチュア球界の名将がついに甲子園にやってくる。松下電器などの指揮を執り、高校野球中継の名物解説者としても人気を博した鍛治舎巧氏が2014年から監督に就任した秀岳館。秋季九州大会を制して、センバツに挑む。
秋は主戦投手として活躍した有村大誠は長身を生かした角度のあるストレートが持ち味。制球にも優れ、バランスの良いフォームでコーナーに投げ分ける。そこに秋は故障で満足いく状態でなかった堀江航平が復調すれば、万全なチーム状態で本番に臨める。
野手は正捕手の九鬼隆平(写真)に注目したい。二塁への送球は1.8秒台の強肩。キャッチングの質が高く、ボールを後ろに逸らさないため、投手は思い切って腕を振ることができる。打撃も公式戦の打率は5割を超えており、今大会No.1捕手との呼び声も高い。
メンバーのほとんどが2013年ジャイアンツカップを制した大阪・枚方ボーイズ出身の選手たち。中学・高校と連続の日本一を目指す。

海星(長崎・15年ぶり5回目)


今年は攻撃力が魅力のチームに仕上がった。大量得点で秋の県大会と九州大会を勝ち上がってきた海星。その象徴は2番を任される島原勇樹だ。犠打ではなく、安打によるつなぎでチャンスメイク。それを主将・小畑翔大がきっちりと走者を返すのが海星の得点パターンだ。
投手は左腕・春日剛志と右腕・土谷一志の2枚看板で臨む。春日は相手打者の内角を強気に攻める投球が持ち味。土谷は調子の波が少なく、ピンチでも動じない精神力にベンチは信頼を寄せている。
甲子園は夏に10勝しているものの、春は未勝利。記念すべきセンバツ初勝利に向けて、選手たちの意欲は高い。


鹿児島実(鹿児島・5年ぶり9回目)


昨夏の甲子園を経験した選手が複数残った鹿児島実、秋季九州大会ベスト4進出でセンバツ出場を勝ち取った。
秋の公式戦は6割強の打率に長打力を兼ね備えた主砲・綿屋樹がチームの中心を担う。板越夕桂は走力が魅力の二塁手で、どの打順でも適応でき、投手もこなす万能型だ。
エースは丸山拓也。打たせて取る投球で、チームにリズムをもたらす。そこに下手投げの谷村拓哉が控えており、目先を変える継投で主導権を握りたい。
攻撃力が売りのチーム。本番でも快音を聞かせてくれるだろう。どれだけ失点を最小限に抑えるかが上位進出はカギになるだろう。


日南学園(宮崎・12年ぶり5回目)


秋季九州大会はベスト4。つかみどころのない戦いぶりで、12年ぶりの出場を果たした。
エース・森山弦暉は小柄ながら伸びのあるストレートとキレのあるカーブとチェンジアップを操る技巧派左腕。ほぼ1人で秋の公式戦を投げ抜き、身体的なタフさも兼ね備える。
打線はどこからでもチャンスを作れる隙の無さが売り。主軸を任されるであろう益田海成はチャンスには滅法強く、得点圏の走者を置けば、高い確率で得点が期待できる。盗塁が得意のリードオフマン・長原拓海の出塁でお膳立てしたい。
チーム全体として、体格では劣るものの、技術やしたたかさでそれをカバーしてきた。強豪校を相手にどれだけ食い下がれるか。注目したい。

《21世紀枠校》

小豆島(香川・初出場)


秋季四国大会では初戦敗退ながら、香川大会では後に明治神宮大会を制する高松商業を決勝で下して優勝。実力に疑いはない。
過疎化が進む地域性もあり、選手層の薄さは常につきまとう。秋の公式戦ではたった1人でフルイニングに登板した長谷川大矩。全56イニングで四死球5と制球に優れた左腕。彼以外にマウンドを託せる投手の出現が待たれる。
打線も小粒ではあるが、粘りとまとまりで得点を狙う。高い出塁率を誇る樋本尚也が塁に出て、長打が期待できる植松裕貴が返す王道パターンを本番でも発揮したいところだ。
自主性を重んじたチーム作りがモットー。練習メニューも選手たちで決めており、それを杉吉勇輝監督が後方から見守るスタイルで実力を伸ばしてきた。聖地で高校野球に新しい風を吹かせる。


釜石(岩手・20年ぶり2回目)


秋季岩手県大会で準優勝、被災地復興の希望として、満場一致で21世紀枠に選出された。
エースはスタミナ自慢の岩間大。秋の公式戦は9試合中、8試合で完投。変化球を効果的に使い、打たせて取る投球が持ち味。冬は球速アップを最優先にストレートの質に磨きをかけている。
打線は秋季岩手県大会で全試合、2ケタ安打をマーク。長打は少ないが、単打に犠打と機動力を合わせた攻撃で、得点を積み重ねていく。俊足好打の岡道雄斗が相手守備陣を掻き回す。
練習時間は他校よりも短いが、中身の濃い練習を取り組むことで力をつけてきた。その実力を本番でも発揮したい。


長田(兵庫・初出場)


秋季兵庫大会でベスト8進出。県内屈指の進学校が、近くて遠かった甲子園の土を踏む。
今大会注目投手の1人、園田涼輔が大黒柱だ。最速140キロのストレートにストンと落ちるフォークが武器。奪三振率も高く、秋の公式戦はほぼ1人で投げ抜いた。
打線も上位で得点を奪いたい。粘りと選球眼に優れたリードオフマン・三宅智が出て、園田と長打が魅力の遠藤毅が打点を挙げる。終盤のチャンスに代打で起用される木下雄起の勝負強さにも期待したい。
練習グラウンドは他部と共有、勉学の両立に、定時制の授業の兼ね合いで限られた練習時間に工夫を凝らす毎日。地元の大声援を受け、勝利を狙う。

文=長嶋英昭(ながしま・ひであき)
東京生まれ、千葉在住。小学校からの友人が、サッカーのU-18日本代表に選出されたことがキッカケで高校時代から学生スポーツにのめり込む。スポーツの現場に足を運びながら、日本各地の観光地を訪れることが最大の生きがい。現在はアマチュアカテゴリーを中心にスポーツ報道の仕事に携わっている。

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