しかし、2年目から釜田はケガに苦しむことになる。2013年の5月に右ヒジを疲労骨折。その後、1軍に復帰したものの、11月には右ヒジにボルトを埋め込む手術を受けた。
2014年3月には右ヒジのトミー・ジョン手術を受け、プロ3年目のシーズンはリハビリに費やした。釜田がルーキーシーズンに1軍で多く登板したことと、2年目以降の故障の因果関係は明確なものがないとはいえ、高卒投手の育成について考えさせられた出来事だった。
昨年の春、釜田は教育リーグで約500日ぶりに実戦登板。8月29日には685日ぶりに1軍登板を果たし、716日ぶりの勝利を手にした。
ケガからの完全復活を目指す今季は、開幕から先発ローテーションの一角を任されている。18日現在、4試合に登板し1勝0敗、防御率1.75。4月10日の日本ハム戦では大谷翔平と投げ合い7回無失点。1対0と大谷に投げ勝った。
ケガからの復活を強く印象付けている今季の釜田だが、そのピッチングスタイルはどうだろうか。
特長を一言で表すなら、ゴロを打たせるのがうまい投手だ。昨季、イースタン・リーグで打たせて取ったアウトの割合は以下の通り。
内野ゴロ75(犠打は除く)
内野フライ14
外野フライ34(犠飛を含む)
ゴロが75に対し、フライは48。ゴロとフライの比率は1.56。フライよりゴロのほうが約1.5倍多い。
昨季、パ・リーグの規定投球回に達した投手でゴロアウトの割合が最も高かった投手はルイス・メンドーサ(日本ハム)で1.78。規定投球回に達した投手の平均は1.14。1軍と2軍の違いはあるが、釜田がいかにゴロを打たせることに長けているかがわかる。
2軍ではゴロを打たせることができても、1軍ではフライを打たれることが多くなってしまう投手もいる。しかし釜田は、1軍でもゴロを打たせている。今季、ここまでのゴロとフライの比率は以下の通りだ。
内野ゴロ33(犠打は除く)
内野フライ12
外野フライ13(犠飛を含む)
ゴロアウトとフライアウトの比率は1.32
今年の10月で23歳になる釜田。若いうちからケガを乗り越えた経験は、貴重な財産となるはずだ。今のピッチングを続けることができれば、エースの則本昂大とともに2本柱と呼ばれる日もそう遠くはないだろう。
文=京都純典(みやこ・すみのり)
1977年、愛知県出身。出版社を経て独立。主に野球のデータに関する取材・執筆を進めている。『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)、『野球太郎』(廣済堂)などに寄稿。1軍はもちろん、2軍の成績もチェックし、分析している。