2019年が始まった。あと1カ月もすれば、NPBの各球団はキャンプイン。球春到来となる。2月半ばからはMLBの各球団がキャンプイン。そして3月下旬からはセンバツが開幕し、高校野球がスタート。プロ野球でも日米ともに開幕を迎えることになる。毎年のことではあるが、野球ファンにとってはあっという間のことだろう。その開幕に向けて日米、そして高校野球と2019年の見どころをピックアップしてみたい。
まずは2019年のプロ野球界から見ていきたい。
2019年シーズンから1軍の登録人数が現行の28人から1人増え、29人になる。最終的には年明け1月21日の実行委員会を経て、翌22日の監督会議において通達することになっているが、ほぼ決定事項と言っていいだろう。
これまで通りベンチ入り人数は25人と変わらないが、1軍登録人数の1人増加は各チームにとって大きいことだ。チーム方針によってどのような選手を登録するのかは異なってくるが、多くのチームは中継ぎ投手を増やすことになりそうだ。
ラミレス監督はすでに「投手に枠を使う可能性が高い」とコメント。DeNAは中継ぎ投手陣を数多く投入するゲームが多く、登録が1人増えるだけでその起用法や投手の疲労軽減など、様々な面に影響を及ぼしそうだ。
また、MLBで一部のチームが導入した「オープナー制」も取り入れやすくなる。オープナー制とは先発投手を1イニングないしは2イニング程度で交代させ、2番手投手に長いイニングを投げさせる作戦のことだ。MLBでも試験的な導入となっており、正式に全試合でオープナーを起用しているチームはない。
日本で取り入れているチームはないが、日本ハムの栗山英樹監督がトークイベントで「たとえば、金子弌大を3試合連続で先発させるとかね」と、「たとえば」の前置きはあったが、同制度の運用について言及している。登録人数が1名増えたことで人数的な問題もクリアしやすくなる。もしかしたら、オープナー制を試すチームは出てくるかもしれない。
高橋由伸監督3年目となった2018年シーズン。前年の本塁打王であるゲレーロやFAで野上亮磨を獲得したが、広島の3連覇を阻止することはできなかった。2015年シーズンから4年連続で優勝を逃すこととなり、高橋監督は辞任。前監督でもある原辰徳監督が3度目の登板となっている。
原監督体制となった巨人はV奪回へ向け、このオフに大型補強を敢行。FA市場から炭谷銀仁朗(西武→巨人)、丸佳浩(広島→巨人)の2人を獲得した。ほかにもオリックスを自由契約となった中島宏之、昨季メジャーで20発を放ったクリスチャン・ビヤヌエバ、さらには岩隈久志も補強した。まさに「巨人らしさ」全開のオフと言っていいだろう。これだけの大補強を行ったからには当然、目指すは優勝だ。これまでに7度のリーグ優勝を飾っている原監督が8度目の戴冠となるのか注目が集まる。
そのカギを握る一1人がエースの菅野智之だ。昨シーズンは2年連続で沢村賞を受賞。CSファーストステージではノーヒットノーランを達成。まさに絶対的エースとなった。
2019年からは背番号が「18」となり、巨人のエースナンバーを引き継いだ。各所で公言している「20勝」、そして、1956年から1958年の金田正一(国鉄)以来、史上2人目となる3年連続沢村賞を目指すことになる。果たして、菅野は自身の3年連続沢村賞、そしてリーグ優勝の2つを同時に手に入れることができるだろうか。
MLBで活躍する日本人選手の見どころも探りたい。
2018年、「二刀流」として大谷翔平(エンゼルス)は海を渡った。残念ながら右ヒジの故障もあり、投手としては大きな成果を挙げられなかったが、野手としては打率.285、22本塁打を記録し、新人王を獲得した
大谷はすでに右ヒジの手術を行っており、2019年は野手としてのみの出場が既定路線。また指名打者として出場することが濃厚となっており、打撃で今季を上回る成績を残すことが期待されている。5月、6月の復帰がひとつのメドとなっているが、野手に専念した大谷の打棒には日米が注目することとなりそうだ。
また、花巻東高の先輩にあたる菊池雄星(西武)もポスティング制度で海を渡ることが濃厚。12月24日時点で所属チームは決まっていないが、その移籍先によっては先輩・後輩対決の実現も十分に考えられる。メジャーリーグで花巻東高の先輩・後輩対決を見ることができるだろうか。動向を見守りたい。
最後に高校野球の見どころも挙げたい。2018年の高校野球は大阪桐蔭高の話題でもちきりだった。春夏連覇を達成し、ドラフトで4名がプロに入る高校生離れしたチームだっただけにそれも当然だろう。その大阪桐蔭は秋季近畿大会の準々決勝で敗退した。そのため、センバツ出場は微妙な状況だ。夏の甲子園2連覇へ向け、挑戦者としてチームを強化することになりそうだ。
新3年生で注目を集めている投手が大船渡高の佐々木朗希だ。すでに150キロを超えるストレートを投げており、甲子園、明治神宮大会といった全国大会への出場はないものの、その名は全国に知れ渡っている。秋季大会では岩手県大会4位となり、東北大会に進むことができず、春の甲子園への出場は絶望的。最後の夏に全国デビューを果たすことができるか注目される。
このように2019年も野球界には多くの見どころがある。これまで同様に楽しんでいきたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)