関東大会で神奈川代表の東海大相模と慶應義塾が4強入り。近年、秋の関東大会で今ひとつ勝ちきれなかった神奈川勢だが、4年ぶりのセンバツをアベック出場をほぼ確実なものとした。
過去、神奈川勢がセンバツにアベック出場したケースは、以下のように11度あった。
■1983年
横浜商:準優勝
桐蔭学園:1回戦敗退
■1989年
横浜商:ベスト4
横浜商大高:1回戦敗退
■1992年
東海大相模:準優勝
横浜:1回戦敗退
■1994年
横浜:2回戦敗退
桐蔭学園:1回戦敗退
■1995年
東海大相模:2回戦敗退
桐蔭学園:1回戦敗退
■1998年
横浜:優勝
日大藤沢:ベスト4
■2003年
横浜:準優勝
桐蔭学園:2回戦敗退
■2005年
慶應義塾:ベスト8
東海大相模:2回戦敗退
■2006年
横浜:優勝
東海大相模:2回戦敗退
■2008年
慶應義塾:2回戦敗退
横浜:2回戦敗退
■2011年
東海大相模:優勝
横浜:1回戦敗退
戦歴を見ればわかるように、アベック出場した11大会では優勝が2回、準優勝が3回、ベスト4が2回とすこぶるいい成績を残している。
秋の神奈川チャンピオンの東海大相模は関東大会準決勝で中央学院に延長10回、2対3と惜敗したものの、桐光学園、慶應義塾(以上、神奈川県大会)、作新学院をワンサイドで下してきた。チームには高校通算37本塁打の森下翔太、走攻守揃った小松勇輝ら「プレミアム世代」の逸材がおり、センバツでの上位進出が期待される。
近年の神奈川で東海大相模、横浜、桐光学園と4強を形成する慶應義塾はあと一歩のところで涙を飲んできたが、9年ぶりの甲子園に帰ってくる。今秋の関東大会で千葉1位の拓大紅陵、栃木1位の國學院栃木を接戦で破った粘り強さをセンバツでも見せたい。
アベック出場はゲンがいいだけに、センバツ出場校の決定が待ち遠しい。
九州大会で決勝進出を決めた富島、関東大会優勝の中央学院、関東大会準優勝の明秀学園日立が初めての甲子園出場が、ほぼ手中に収めた。いずれも名物監督が率いるチームだ。その監督たちの横顔を紹介しよう。
■富島:浜田登監督
宮崎県大会で2015年秋に準優勝、2016年春に優勝と力をつけてきた富島は、今秋に3度目の九州大会出場を果たすと、3勝を挙げ甲子園切符をほぼ手中に収めた。躍進のきっかけは2013年に就任した浜田登監督。宮崎商時代に赤川克紀(元ヤクルト)を育て、甲子園出場を果たした浜田監督の元に有望選手が集い、短期間で宮崎の強豪校入りを成し遂げた。フレッシュな風を吹かせることができるか。
■中央学院:相馬幸樹
2年連続出場となった関東大会で、花咲徳栄、東海大相模などの強豪を破って頂点に立った中央学院も、2007年に就任した相馬幸樹監督の存在が大きい。社会人野球を引退した後、大学院でスポーツ心理学を学んだ相馬監督が掲げたのは、監督、コーチ、選手が一体となった全員野球。100ページに近いマニュアルを掲げ、チームの意思統一と意識改革を図った。その成果が実り「甲子園に手が届かない千葉の強豪」から卒業。好投手・大谷拓海を擁するチームで関東を制し、念願の甲子園出場をほぼ確実とした。
■明秀学園日立:金沢成奉監督
二刀流・細川成也(DeNA)を擁したチームで甲子園初出場を狙った2016年夏は茨城大会決勝で常総学院に0対1で惜敗。すんでのところで甲子園を逃した明秀学園日立。今秋は茨城県大会でライバル常総学院、霞ヶ浦を倒し、関東大会に出場。決勝まで駆け上がった。
チームの率いるのは「3年以内に甲子園」を掲げて2012年に就任した金沢成奉監督。光星学院(現八戸学院光星)時代には甲子園に8回出場し、坂本勇人(巨人)を育てたことでも知られる名将だ。
ここ3年は、2015年春準優勝、夏ベスト4。2016年夏準優勝、秋優勝。2017年春優勝、2017年秋優勝と常に県内上位につけながら、常総学院や霞ヶ浦。関東大会の壁に跳ね返されてきた。しかし、今年は常総学院に初勝利を含む2戦2勝。ようやく機は熟したか。光星学院を甲子園常連校に育てた名将の手腕で、明秀学園日立も同じ道を歩み出しそうな気配だ。
文=山本貴政(やまもと・たかまさ)