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栄光の架け橋。3年目の躍進へ、楽天・安樂智大が見せた2年目の目覚ましい成長とは!?


 楽天は3年ぶりに最下位を脱出したが、今シーズンもBクラス。下位に沈んだ最大要因は大幅な失点増にあった。

 パ・リーグ最多の654失点は球団史上でもワースト3位。田中将大(現・ヤンキース)の退団後、2ケタ勝利投手は孤軍奮闘する則本昂大のみ。慢性化する苦しい投手事情だが、今季の後半戦の戦いには、その窮状に終止符を打ち「栄光の架け橋」を担う若鷲の成長があった。

先発ローテに定着した後半戦は防御率2.64


 その若鷲とは安樂智大のことだ。高卒2年目の今シーズンは15試合(先発12試合)に登板して、84回1/3で防御率3.42、3勝5敗。4月下旬以降、先発ローテの駒不足から3試合に先発。6月の交流戦では3試合リリーフを経験したが、前半戦は防御率5.48と結果を残したとは言い難かった。

 しかし、2軍での再調整を経て1軍に合流した後半戦は防御率2.64。約2カ月間、先発ローテに定着し9試合で3勝3敗。6回以上を投げて自責点3以内は6試合、7回以上を投げて自責点2以内も5試合と、殻を一つも二つも破って、たくましく成長した姿を見せた。


改善された制球力こそ、後半戦好成績の原動力に


 安樂の成長の背景には制球力の改善と、個々の持ち球のレベルアップがあった。ストライクゾーンに投げることができても、打者に甘い球を痛打されれば元も子もない。2年目の若武者は、この課題を乗り越えた。

 投球回80以上を記録したパ・リーグ投手の36人中、「四球率2.49以下+被打率.249以下」という2つの条件を満たした投手はわずかに6人。リーグ最優秀防御率のロッテ・石川歩と、和田毅、東浜巨、岩嵜翔、バンデンハークら鷹軍団に混ざり、四球率2.35、被打率.249の安樂も名を連ねたのだ。

ストレートはプロ最速151キロを計測


 ストレートはプロ入り後の自己最速151キロをマーク。甲子園を沸かせた155キロと比べると物足りなさは否めない。しかし、長いシーズンを戦うプロでは、いかに145キロ前後の質の良いストレートを継続的に投げ込むことができるかが、一流投手のテーマになる。

 安樂はその目標に向け、着実に差を詰めていく道程にいる。ストレートの被打率は.306。しかし、前半戦の.358に対し、後半戦は.283と改善に成功。3年目はこの上昇気配を継続し、打者のバットが空を切るストレートを目指したい。


低めに集め続けた精度の高さが光った変化球ピッチング


 安樂の成長を見るうえでストレート以上に目を見張ったのは、被打率1割台の変化球の精度だ。シーズン通して変化球の60%近くを低めゾーンに集める丁寧な投球を見せた。そのストライク率は64%を記録。1年目は投手コーチから50%以上を言い渡されていたので、大きな改善だ。

 シーズン終盤にはカーブを上手く用い、緩急を意識した新たな組み立ても披露。9月25日の日本ハム戦、同点で迎えた3回の2死一塁、4番・中田翔との対戦では、追い込んだ後に捕手のサインに複数回首を振り、115キロのカーブを投げ込んで鮮やかな空振り三振を奪うシーンもあった。

 安樂は、メキシコで28日から始まる第1回U-23ワールドカップの日本代表にも選出されている。3年目の来季は、則本とともに先発投手の二本柱を担う存在に成長してほしい

(※文中の細かな記録は筆者調べ)


文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。

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