ついに開幕を迎えたプロ野球。序盤戦とはいえ、各チームのファンは喜びと不安で右往左往する時期だ。特にチームの主砲の調子は今シーズンを占うバロメーター。開幕2カード終了時点でのホームランバッターたちを俯瞰で見てみた。
(※成績は4月4日現在)
開幕戦から魅せたのは、昨季のホームランキング・山川穂高(西武)。いきなり4点ビハインドを一気に埋めるグランドスラムで今季初本塁打を飾った。今シーズンから四股と押し出しをイメージした“どすこい”パフォーマンスを導入。早くも披露する機会をつかんでいる。打撃自体はまだまだ本調子ではないが、それでも本塁打をかっ飛ばすのは実力の証だ。
ウィーラー(楽天)が順調。中田翔(日本ハム)もここぞの2本塁打で存在感を発揮した。順調かと思われた柳田悠岐は、左膝裏の肉離れを発症して離脱してしまった。
なかでも絶好調なのはレアード(ロッテ)。開幕からの6戦で5本塁打と大当たり。2016年の本塁打王がバットに再び火を灯した。寿司パフォーマンスも健在。幕張の寿司は「江戸前」ということになるのだろうか……?
一方で心配なのは、同じくロッテの井上晴哉。昨年は24本塁打をかっ飛ばしたが、オープン戦から打率.125、0本塁打に沈んでおり、絶不調。早くもスタメンから陥落した。去年は太いお腹の割には体がよく回っていたが、今年は何だか動きがかたく見える。暖かくなってくれば状況が変わりそうだが、ホームランラグーンは井上の30本塁打のために生まれたようなもの。相撲の懸賞金のようにチョコを重ねてもらうパフォーマンスを早く見たい。
パ・リーグの覚醒候補筆頭は中村奨吾(ロッテ)と見た。これまでは器用な打者の印象があったが、今季は体の厚みが増し、メジャー時代の井口資仁のようにも見える。すでに2本塁打を放っており、初の2ケタ本塁打どころでは済まないであろう迫力を感じる。
セ・リーグではソト(DeNA)、岡本和真(巨人)が3本塁打。開幕戦で4三振を喫し、不調と囁かれていた丸佳浩(巨人)も2カード目の阪神戦で2本塁打を放ち、早くも復活を果たした。筒香嘉智(DeNA)、鈴木誠也(広島)、ビシエド(中日)も打率の面では好スタート。大きな問題はなさそうだ。
バレンティン(ヤクルト)がやや低調な発進だが、オープン戦では3本塁打を放っており、そこまで深刻ではないだろう。
ただ、1球団だけ悲惨な球団がある。もちろん阪神だ。4番に据えた大山悠輔が6試合で打率.095と躓いた。そもそも昨季は9月の1カ月で9本塁打と大爆発したものの、11本塁打。ホームランバッターに数えるのはやや酷かも知れないが、それが4番の宿命。
このあたりが阪神の現状なのだが、大山を3番か5番でスタートさせる手もあった気がする。ちなみにオープン戦ではチームトップの4本塁打、打率.224。大山に任せるか、福留孝介に任せるかという際どい選択になった結果だ。この記事が世に出る頃には固め打ちしているかもしれないのが、大山の怖さでもあるのだが……。
セ・リーグの覚醒候補は佐野恵太(DeNA)。今シーズンは代打要員として開幕を迎えたが、開幕から4の4。さらには4打席目で脅威の満塁弾をぶち込んだ。はっきり言って筒香並みの威圧感がある。中堅、右翼が定まらないチーム事情もスタメン出場を後押ししそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)