セ・リーグの「幸運の置物」代表は、阪神の鳥谷敬だろう。
今季は開幕からなかなか調子が上がらない鳥谷だが、それでも連続フルイニング出場記録を継続させるためにスタメン出場を続けていた。
しかし、チームの借金が今季最大の15になったときに、金本知憲監督が決断し鳥谷をスタメンから外す。
すると皮肉にもベンチを温めている間に、チームは1つの黒星を挟んで4連勝、2連勝で4位に浮上した。見事な置物っぷりである。
ただしそんな逆風の中でも、スタメン落ちした後に代打として5回打席に入って3安打と意地を見せた鳥谷。しかも打った試合はすべて勝っているので、これからは「幸運の代打屋」としてチームに白星を届けてもらいたい。
6月から7月にかけて、球団新記録の15連勝を達成した日本ハム。こんな大記録を残すためにはチーム一丸になる必要が……、あるわけないやろ、と言わんばかりの成績を残したのが4番の中田翔である。
連勝が始まった6月19日から15連勝目の7月11日までの成績を見てみると、50打数9安打で打率.180、打点はたった5という有様。今季は打率が最高で.333まで達したこともあったので、その頃と比べると著しいまでの置物化を見せた。
チームの要である4番がこの成績でよく勝ち続けられたと逆に感心したくなるが、ほかの選手の業をすべて背負ったと思えば合点がいく。昨年のプレミア12でも大阪桐蔭高の先輩である中村剛也がサッパリだったが、後を打った筒香嘉智と中田は絶好調だった。
そう考えると、4番はむしろ置物でいい……、とさえ思ってしまう。いや、いいわけはないのだが。
ほとんどの選手は、「自分が打ってチームを勝たせたい」と思っているだろう。ファンが増えて成績も上がって給料も上がって、と言うことなし。
それに自分が出場しなくても活躍しなくてもチームが勝つと「やっぱり必要ない」と不要論が出てきてしまう。選手生命の危機である。
しかし野球がチームスポーツである以上、それぞれの選手に役割があるということを理解することは大切。だから球団には、目先の成績にとらわれない「幸運の置物査定」を設けてもらいたいと思う。
文=森田真悟(もりた・しんご)