まずは、前田健太の抜けた投手陣から予測してみよう。
5月までの日程を考えると、序盤は先発5人体制で回すことが予測される。開幕投手のクリス・ジョンソン、黒田博樹、福井優也の昨シーズンのローテーション投手は当確。それに続くのが復活を目指す野村祐輔。残りの枠を横山弘樹、岡田明丈の両投手が担うことが予想される。
本来ならば前田の穴を埋めるのは、3年目の大瀬良大地が一番手として期待されていた。しかし、ヒジのケガでまさかの離脱。復帰時期が未定となってしまった事はあまりにも痛い。
また、オープン戦で結果を残せなかった黒田は、今年で41歳。昨シーズン以上の成績を求めるのは厳しいと見られる。ジョンソン、福井以外が未知数と考えられる中、大瀬良の復帰時期がペナントを大きく左右するのではないだろうか? オープン戦で抜群の結果を出したとは言い切れない、新人2人に頼らなければならない現状を見ると、前田の穴の大きさが改めて浮き彫りになる。
予想外の緊急事態に暗雲がたちこめるカープ投手陣。この緊急事態の中で、リリーフ陣の好調さは光明だ。ジェイ・ジャクソン、今村猛、仲尾次オスカルなど、昨シーズンはいなかった投手がそれぞれ結果を見せ、存在感を発揮したことは非常に大きい。
抑えの中崎翔太が圧巻のピッチングを見せている中、昨シーズン確立されなかった勝利の方程式が確立されれば、先発からでなくリリーフで前田の穴を埋めることができるかもしれない。
それに対して野手陣はどうだろうか? 捕手は今年も、石原慶幸、會澤翼の併用と見て間違いないだろう。ベテラン石原が好調だけに、それを維持したままシーズンを迎えれられれば心強い。
内野陣は二塁手・菊池涼介、遊撃手・田中広輔の二遊間は球界屈指のレベルと言っても過言ではない。三塁は新加入のエクトル・ルナ、一塁は新井貴浩で、ほぼ固定されるとみて間違いないだろう。
また、新人の西川龍馬が.389と高打率を残し、安部友裕も攻守に存在感を発揮した事で内野陣の層は明らかに増している。昨シーズン貧打に泣いた広島だが、内野陣に関しては打線に期待が持てそうだ。
外野は中堅の丸佳浩、左翼のブラッド・エルドレットがクリーンナップとしての期待がかかる。
右翼に関しては、レギュラー候補と期待されていた鈴木誠也がケガで離脱。そのライバルであった野間峻祥も出遅れたことで、天谷宗一郎、松山竜平、下水流昂、土生翔平の間で熾烈な定位置争いが行わた。一時、天谷が攻守で活躍したことでリードしたかと思われたが、失速。それぞれが決め手を欠いたままシーズンを迎える。
戦力はあれど、それを生かすも殺すも采配次第。昨シーズン優勝の期待を背負いながら、隙あらば新人・野間を積極起用するなど、采配面で大きな批判を受けた緒方監督。戦力ダウンした今シーズンは、昨年以上に采配面での結果が求められるが、果たしてどうなるか。
オープン戦で19回盗塁を仕掛け12回も失敗。19日のオープン戦では、投手のジョンソンを8番に入れて攻撃を詰らせる…、今季もなかなかの迷采配を発揮しているように感じるのは気のせいだろうか?
今年のセ・リーグはズバ抜けた戦力を有するチームは見当たらない。昨シーズン同様いや、それ以上の混戦も予想される。均等な戦力のなか、勝ち上がるのはやはり監督の采配を置いて他にない。批判してきたファンの手のひらを三回転くらい変えさせるには25年ぶりの優勝を成し遂げるしかないだろう。緒方監督の采配に期待したい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)