はじめにフーズフーズというチームについて説明しよう。フーズフーズとは、ファミコン用ソフト『ファミリースタジアム』(以下、ファミスタ)に登場するチームのことだ。
実在のプロ野球チームをモデルにしたファミスタだったが、初期はゲーム容量の都合で実在するチームの幾つかが、混合チームとして製作された。そのうちの1チームが「関東食品連合」のフーズフーズ。つまり、関東(当時の日本ハムの本拠地は東京)の食品メーカーが親会社である日本ハムとロッテの混合チームだったのだ。
なお、ほかにも電鉄会社を親会社に持つ関西の3チーム、阪急、南海、近鉄による複合チームの「レイルウェイズ」もあった。
容量の都合故に仕方ない部分もあるが、後に起こる球界再編を見越したかのような合併チームを誕生させたナムコの先見の目には恐れ入る…のだが、当時は好きなチームが合併される仕打ちに涙したファンが非常に多かった。フーズフーズとレイルウェイズはそんなせつないチームでもあったのだ。
というわけで早速「2017年版フーズフーズ」の戦力を見てみよう。さすが昨シーズンの上位チームの日本ハムとロッテだけあり、かつてのタイトルホルダーの名前がずらりと並ぶ。しかし、今シーズンに限っては彼らの成績が軒並み悪いのだ。
まず、先発投手陣に目を向けると規定投球回数に到達している投手は涌井秀章、唐川侑己(ともにロッテ)、有原航平(日本ハム)のわずか3人。しかも、3人が防御率のワースト3を独占と厳しい状況だ。
このように、柱となる先発投手不在がチームの低迷を呼んでいるのは一目瞭然。両チームの勝ち数(日本ハム:35勝、ロッテ:33勝)を合わせても、ソフトバンクの69勝に追いつけないという事実が深刻さを物語っている。
打撃陣では、レアード、中田翔(ともに日本ハム)ら実績ある大砲を多く有しているが、今季は安定性を著しく欠いている。日本一の原動力となったポイントゲッターだが、今季もこの2人に頼るスタイルでは勝ち抜くことは厳しいと言わざるを得ない。
ここまで見ると、合併しても厳しい戦いを強いられそうな2017年版のフーズフーズ。しかし、諦めてはいけない。1番のセールスポイント、機動力から勝機を見出してみたい。
リーグ2位の27盗塁をマークしている西川遥輝を筆頭に、田中賢介、中島卓也と盗塁ランキングベスト10に3人がランクインする日本ハムの機動力は白眉。また、ロッテも12位の荻野貴司をはじめ、途中加入のサントスなど走れる選手を数多く有している。
そこで理想的なオーダーとは? まず機動力もあり、出塁率の高い西川、鈴木大地、角中勝也(ともにロッテ)で上位を組み、打者専念の大谷翔平(日本ハム)が返す形を作りたい。そして5番には本塁打数リーグ2位のレアード、下位打線には大田泰示(日本ハム)と1発のある選手を並べた打線は魅力的だ。
ベンチに控える実績十分なビッグネームたちの存在感もあり、他チームの脅威となる可能性は捨てきれない。
投手陣も先発陣は不安だが、リリーフ陣は左右のリリーバーが安定した数字を残している。近代野球はリリーフ投手が生命線。リーグ5位の16セーブを挙げている増田浩俊(日本ハム)を中心に内竜也(ロッテ)、宮西尚生(日本ハム)らリーグ有数のリリーフ陣が機能すれば、ウィークポイントの先発陣を補って余りある。
これらを踏まえた上で、独断で組んだオーダーは以下の通りだ。
■「2017年版フーズフーズ」オーダー
1(中堅):西川遥輝(日本ハム)
2(二塁):鈴木大地(ロッテ)
3(左翼):角中勝也(ロッテ)
4(DH):大谷翔平(日本ハム)
5(三塁):レアード(日本ハム)
6(一塁):松本剛(日本ハム)
7(右翼):大田泰示(日本ハム)
8(捕手):田村龍弘(ロッテ)
9(遊撃):中島卓也(日本ハム)
■代打陣
中田翔(日本ハム)/福浦和也/井口資仁/加藤翔平/荻野貴司/ペーニャ/サントス(ともにロッテ)
■先発陣
有原航平/加藤貴之/高梨裕之(ともに日本ハム)/二木康太/唐川侑己/涌井秀章(ともにロッテ)
■リリーフ陣
増井浩俊/宮西尚生/鍵谷陽平/石川直也(ともに日本ハム)/内竜也(ロッテ)
これはなかなか強い。と、思ったのは筆者だけだろうか? お盆休みのひと時、こんな妄想をして時が経っていくのも野球ファン冥利につきる。野球は楽しいぞ!
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)