流行語大賞に選ばれたことで、予期せぬ認知度の高まり方を見せた「トリプルスリー」。
当事者であるソフトバンクの柳田悠岐、ヤクルトの山田哲人は、打撃部門のタイトル以外に、リーグMVP、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得、その表彰式の出席等で、オフは大忙しとなっている。
特に柳田は、先日の11月29日には結婚していたことを発表。公私ともにバラ色のオフを過ごしている。
そんな柳田と山田だが、来シーズンはよほど心してかからないと、成績を落とすことになりかねない。
というのも、この2人よりも前にトリプルスリーを達成した選手が8人いるが、その8人ともが「2年連続トリプルスリー」を成し遂げられないどころか、大きく成績を落としている項目もあるからだ。過去の8人のトリプルスリー達成年と翌年の成績をみてみよう。
☆=成績アップ
※=ダウンするもトリプルスリー基準はクリア
岩本義行(松竹)1950年→1951年
打率.319→.351☆
本塁打39本→31本※
盗塁34個→10個
別当薫(毎日)1950年→1951年
打率.335→.309※
本塁打43本→16本
盗塁34個→22個
中西太(西鉄)1953年→1954年
打率.314→.296
本塁打36本→31本※
盗塁36個→23個
簑田浩二(阪急)1983年→1984年
打率.312→.280
本塁打32本→26本
盗塁35個→5個
秋山幸二(西武)1989年→1990年
打率.301→.256
本塁打31本→35本☆
盗塁31個→51個☆
野村謙二郎(広島)1995年→1996年
打率.315→.292
本塁打32本→12本
盗塁30個→8個
金本知憲(広島)2000年→2001年
打率.315→.314※
本塁打30本→25本
盗塁30個→19個
松井稼頭央(西武)2002年→2003年
打率.332→.305※
本塁打36本→33本※
盗塁33個→13個
2年連続どころか、数字がアップしたのは岩本義行の打率と秋山幸二の本塁打&盗塁の3つのみ。トータル「3部門×8人=24部門」のうち、実に21部門がダウンしている。
記録達成で燃え尽き症候群に陥ってしまうのか、それとも心身を酷使したダメージが年またぎで残ってしまうのか…。理由は個々に異なるだろうが、いずれにしても過去の歴史はそのハードルの高さを示している。
来季の目標として、山田はトリプルスリーとともにゴールデングラブ賞を挙げ、柳田は今季以上の難度とも言える40本塁打&40盗塁を掲げている。
それだけでなく、チームの中心選手として、当然ながらリーグ優勝、日本一にも強い思いがあるはずだ。果たして、前人未到の領域に足を踏み入れることができるのか!? 来シーズンも両選手のパフォーマンスから目が離せない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)