ここまで打率.329の松山竜平(広島)がその筆頭格だ。鈴木誠也やタナキクマル(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)、新井貴浩、エルドレッドら役者が揃っている広島打線において、松山は決して目立つタイプではない。しかし、昨季もスタメンで58試合、代打など途中からの出場が45試合と重宝され、優勝にも大きく貢献していた。
今季も、特に鈴木誠也が足首のケガで戦線離脱した8月23日以降、4番に座った17試合で打率.435、4本塁打、20打点と、鈴木の穴を埋めて余りある数字を叩き出している。
松山はここまで366打席。最終的な規定打席は443(チーム試合数×3.1)のため到達は不可能だが、その成績は称賛に値する。
また、広島には、ほかにも岩本貴裕が打率.436(39打数17安打)、白濱裕太が打率.400(5打数2安打)、磯村嘉孝が打率.333(24打数8安打)と、打数は少ないながら高打率を残している。
なかでも岩本は、代打でも打率.462(13打数6安打)と勝負強さを発揮している。1軍に登録されたのが7月9日なので、まだまだ気力体力はあり余っているはず。ポストシーズンでも、キーマンになる可能性はありそうだ。
そしてもうひとり、巨人の2年目の新星・宇佐見真吾(巨人)を挙げておきたい。
宇佐見は2015年のドラフト4位で城西国際大から入団し、今季が2年目。今季は8月8日に自身初の1軍昇格を果たすと、その日に代打で出場し初安打を記録。それ以降もコンスタントに出番が与えられ、ここまで打率.323(31打数10安打)と結果を残している。
豪快な打撃フォームが持ち味だが、9月5日の中日戦では、足元にきた球をゴルフのようなスイングでライトスタンドまで運ぶという器用な一面も見せた。
キャッチングやリードなど捕手としての経験と勉強はまだまだ必要だろうが、巨人のレギュラー捕手・小林誠司は打率.204で、セ・リーグの規定打席到達選手のなかでは最下位。それだけに宇佐見の打棒は魅力的だ。この先、小林との正捕手争いが加熱していくに違いない。
(成績は9月20日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)