梅雨明けから怒涛の勢いで「二強」に割り込んできたのが西武だ。真っ赤な「炎獅子ユニフォーム」の使用が何かを呼び覚ましたのか、7月21日から8月4日まで驚異の13連勝。さらにひと休みして8月12日から8月17日まで5連勝と一気に台頭してきた。
その原動力となったのが打線。とくに13連勝したときは、そのうちの10試合で6得点以上を記録。面白いように打線がつながった。
秋山翔吾、源田壮亮の1、2番だけでなく、試合が進めばその前の打者となる9番・金子侑司からの流れで足がかりを作り、中軸の浅村栄斗、メヒア、中村剛也、さらに成長著しい山川穂高らで走者を迎え入れるという打線の流れが定着。また、開幕前のケガで出遅れていた森友哉もようやく8月15日に合流し、さらに厚みが増している。
8月22日から4連敗と足踏みしてしまったが、上げ潮ムードを持続していきたい。
一方、西武の上昇に気圧されるようにチーム状態が下降しつつあるのが楽天だ。開幕から7月末までの約4カ月間、大きな連敗はほぼなかった(2連敗、3連敗が2回ずつ)。しかし、8月は27日までの約4週間で、6連敗が1回、5連敗が1回、3連敗が1回と、ズルズルと星を落とすケースが目立っている。
ケガで戦列を離れていた茂木栄五郎、ペゲーロ、松井裕樹らが次々と復帰してきているだけに、彼らを起爆剤としてもう一度エンジンを吹かし、ラストスパートをかけたい。
ここから2位、3位を巡って、楽天と西武がデッドヒートを繰り広げそうな雰囲気だが、戦力をざっくり分析すれば、投手陣は先発の枚数、後ろの安定感ともに楽天が優勢。打線はメヒアや中村剛也の不調が長引かなければ西武が優位といったところ。
そこで注目は直接対決だ。両チームの対戦は8月29日以降、7試合残っており、そのうち5試合が楽天のホームのKoboパーク宮城で行われる。ここまで、西武は貯金のほとんどをホームで稼いでいる。一方の楽天はそこまで偏りがない。そのデータ通りなら、ビジターで苦戦を強いられそうな西武が、やや不利に見えるが…。
なお、首位独走に持ち込みつつあるソフトバンクも、3位まで落ちる可能性もなくはない。昨年は最後に競り負けて日本ハムの後塵を拝しており、2013年も9月中旬に2位浮上の瞬間がありながら、最後にもうひと踏ん張りができず4位に終わっている。
それだけに油断はできないが、故障が癒えた昨季の最多勝投手・和田毅が復帰するのは大きい。守護神・サファテも盤石。よほどのことがない限り、このまま先頭でゴールテープを切る可能性が高そうだ。
(成績は8月27日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)