【2016夏の高校野球】《兵庫観戦ガイド》有望選手と大会展望＆勢力ピラミッド

2016/6/28

7月9日〜28日（明石トーカロ球場ほか）

秋春Ｖの明石商をはじめ投手陣に厚み有
第3勢力まで好投手が揃い、投手戦必至

●例年になく好投手が揃った

　プロのスカウトが熱視線をおくるのが神戸国際大付の二枚看板。右の平内龍太は、今春テークバックをコンパクトにする投球フォームに変え、県大会前の地区予選で最速145キロを計測した。スライダーも一級品で、兵庫屈指の右腕と呼ぶにふさわしい存在に成長した。左の東郷太亮は昨春の大会でブレイクしたが、夏は腰痛の影響で1試合のみの登板にとどまった。秋に復活したものの、腰痛発症前と比べると物足りなさが残る。それでも、最速143キロの直球と、50メートル5秒9の身体能力に魅力を感じる球団は多い。本人も、「高卒でプロに行きたい」と夏に再び脚光を浴びたい本心を語る。

　春の県大会で注目を浴びたのが山崎伊織（明石商）。3回戦の神港学園戦では、スカウトのスピードガンで148キロを計測。準々決勝の市川戦で2安打完封、決勝では報徳学園を3安打に抑えて登板機会での連続完封をやってのけた。これには狭間善徳監督も「これだけ投げるとは」と驚きの表情。進学が有力で、指揮官は「日体大の松本航みたいになってくれれば」と教え子の名を出して今後の成長に期待する。エースの吉高壯も負けてられない。センバツ8強に導いたスプリットを生かした投球術は、高校生投手としては一流の部類。近畿大会で背番号1を明け渡した悔しさを晴らしたい。

　経験で誰にも負けないのが主島大虎（報徳学園）。1年春から近畿大会で登板し、2年夏の県大会では1試合で16個の三振を奪った左腕。武器は走者を背負った時の牽制で、本人も「自信がある」と語る。これまで甲子園出場がなく、最後の夏に懸ける思いは強い。同校ではケガが多かった中本光紀と多根井蒼太も春の大会で復活し、投手層が厚くなった。

長田・園田も連続出場狙う

　公立の星は才木浩人（須磨翔風）。187センチの恵まれた体から、最速146キロの直球を投げ込む。「体幹を鍛えて、低めの直球が伸びるようになったと思います」春になっての手応えを口にする。夏はノーシードになってしまったが、「初戦で当たりたくない」とシード校の監督は気にする。園田涼輔（長田）はセンバツで躍動した右腕。春の県大会では右ヒジ痛の影響で本来のピッチングが出来なかったが、夏には照準を合わせてきそう。理系での国公立大学進学を狙っている。

　山本宵吾（育英）は春の地区予選で須磨翔風の才木に投げ勝った左腕。県大会では2試合連続で3安打完封と安定感は抜群だ。

☆★☆ 打者編 ☆★☆

●神港学園・三宅の今後に期待

　投打で注目されるのは三宅浩史郎（神港学園）。昨秋の近畿大会では智辯学園との1回戦で先発し、敗れはしたものの4失点と好投した。打つ方ではランニング本塁打を放つなどシュアな打撃が光る。大学へ行って伸びるタイプだ。

　春の大会でデビューした1年生の小園海斗（報徳学園）は、全試合で安打を放った。俊足巧打で華のある遊撃手。「2年後が楽しみ」と語るスカウトも。

　稲富宏樹（三田松聖）と、永良賢悟（市川）の2年生捕手2人は肩が強く、来年へ向けての注目選手になってくるだろう。

☆★☆ 大会展望 ☆★☆

●3季連続の決勝激突なるか？

　秋春と2季連続で明石商が優勝、報徳学園が準優勝という結果になった。春の結果により、両校は夏も決勝まで対戦しないことになった。育英、東洋大姫路、神戸国際大付、加古川東、神港学園、長田など好投手を擁するチームが多く、得点力が勝負のカギを握りそう。シード権を獲れなかったチームでは須磨翔風、関西学院、武庫荘総合などに地力あり。どのブロックに入るかに注目が集まる。昨夏の覇者・滝川二は、エースの友井寛人が右ヒジの故障から復活できるかがポイント。

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