育成選手契約から這い上がってきた日本人選手がグラウンドで躍動する姿はもはや珍しくなくなったが、最近は、同パターンの外国人選手も増えてきた。昨季は、ソフトバンクのモイネロや広島のバティスタなどがこれに該当し、彼らに続けとばかりに原石的な素材をファームで鍛えている球団は多い。
今回は、2018年に育成から支配下登録へステップアップした助っ人たちをピックアップしてみたい。
今回のテーマに当てはまる助っ人のなかで、今季、もっとも活躍したのがフランスア(広島)だろう。
ドミニカ共和国のカープアカデミー出身で、日本の独立リーグを経て広島と育成選手契約を交わしたのが今年の3月7日。2軍戦で5月9日までに7試合登板した段階で防御率1.50。5月17日の登板は5回5失点と打ち込まれるも、5月20日には支配下登録、26日には1軍へ昇格した。
昇格当初は先発起用もされていたが、真価を発揮し始めたのは中継ぎに専念するようになってから。7月は10試合に登板し防御率1.50、8月はプロ野球タイ記録となる18試合に投げて防御率0.51。月間MVPにも選出された。この7〜8月のチーム成績は29勝14敗1分。5〜6月で3個しか貯金を増やせずモタついていた赤ヘル軍団に勢いをつけたのはフランスアと言っても過言ではないだろう。
その後も好投は続き、ポストシーズンでもCS2試合に登板し無失点。日本シリーズは4試合に登板し、第5戦でソフトバンクの明石健志から痛恨の同点ソロを食らうも、自責点はその1点のみ。厳しい場面でも、変わらずパワフルなピッチングが目を惹いた。
広島とは2023年までの6年契約を結んでおり、しばらくはブルペンを支えてくれそうだ。
巨人のC.C.メルセデスもドミニカ共和国のカープアカデミー出身。2017年から育成選手として在籍。1年目は2軍で18試合に登板し2勝3敗で防御率3.29。2年目の今季の2軍成績は6試合に登板し、勝ち負けなしで防御率2.05。最後の2試合は、先発し7回2失点、8回無失点と好投。7月8日に支配下登録を勝ち取っている。
10日のヤクルト戦に早くも先発し、5回無失点で勝利投手に。続く18日の阪神戦でも7回無失点で2連勝。育成出身投手のデビュー2連勝は史上初の快挙。動くストレートをコーナーに投げ分け、内野ゴロを打たせる丁寧なピッチングが光った。
レギュラーシーズンの最終成績は、13試合に登板して完投での2勝を含む5勝4敗、防御率2.05。来季は、開幕からローテーション投手として期待がかかる。
アダメスは2016年に育成選手で巨人と契約。昨季は2軍で10先発を含む26試合に登板し4勝4敗、防御率3.16。リリーフに専念した今季は、6月14日までに19試合に登板し11セーブ。防御率も2.18と好投を続け、6月16日に支配下登録となった。
1軍では28試合に登板し、0勝2敗4セーブで防御率3.94。一時はクローザーを任された時期もあったが、安定感がいまひとつで、確固たる地位を築くまでには至らず。150キロ台後半のストレートは威力十分。制球力を磨けば来季はさらに貢献できるだろう。
R.マルティネスは、2017年から中日でプレー。今季、4月19日に支配下登録されたキューバ出身の選手だ。1軍では7試合に登板し1勝3敗、防御率6.65と目立った活躍はできなかったが、この10月に22歳になったばかりで、今年ドラフト指名を受けた大学生と同じ年齢。これからの成長に大いに期待したい。
巨人のマルティネスは昨季、育成契約で来日したドミニカンで、内外野を守れて両打席に立てるというスーパーユーティリティープレーヤー。今季、2軍で7月22日までに打率.271とまずまずの成績を残し、7月27日に支配下登録。1軍では、19試合で.180と結果は残せなかったが、放った11安打のうち、本塁打が2本、二塁打が4本と、パンチ力は見せた。
その後、左手の負傷もあって8月26日に2軍落ちしてからは出番なし。ただ、強肩でなおかつ俊足という武器も備えている選手。大物の加入が相次ぐ巨人だが、使い勝手はいいタイプだけに、打撃の確実性が増せば需要はあるはず。
文=藤山剣(ふじやま・けん)