大学日本代表対NPB選抜、関西オールスター、東都・国際親善試合……いつもとは違う大学野球を総まとめ
★東都大学リーグ・国際親善試合
6月27日、神宮球場で東都大学リーグ選抜が韓国大学選抜を迎え撃った。
当初、この韓国大学選抜はユニバーシアード競技大会に出場する韓国代表が来日するのかと、ファンにも日本代表首脳陣にも思われていた。だが、蓋を開けてみれば、「我々はユニバーシアードの選抜からは漏れた選手たちで、大学球界全体の底上げするため、日本に来ました」とホ・セファン監督が語ったように、実質2軍。いわば韓国大学B代表のような選手たちだったため、東都選抜が攻守で韓国大学選抜を圧倒した。
まず、3回に久保田昌也(國學院大3年)がライトスタンドに先制本塁打を放つと、5回、6回と2イニング連続で追加点を奪う。そして7回には、渡辺和哉(専修大4年)の三塁打でダメ押し。
投げては黒木優太(立正大3年)、東野龍二(駒澤大2年)、岡野祐一郎(青山学院大3年)、幸良諒(東京農業大4年)、木村光彦(日本大3年)、原樹理(東洋大4年)の6投手で被安打をわずか3本に抑える好投を見せ、5−0で東都選抜が完勝。
ホ監督も「このチーム(東都選抜)がユニバーシアードに出ても良いぐらいです」と称賛し、「特に投手が素晴らしい。中でも先発投手(黒木)とサイドハンドの投手(木村)が良かったですね」と印象を語った。
一方、東都選抜を率いた齋藤正直監督(専修大)は、「これだけ良い投手がいると指揮していて楽しいですね」と試合後に笑みを見せ、「なかなかこういう機会は無いので、他チームの選手との交流も深めてもらえばと思います」と話した。
▲黒木優太(立正大3年)
▲幸良諒(東京農業大4年)[ともに撮影:高木遊]
好投した投手陣は東野を除けば、すべて今春は2部で戦った投手たち。あらためて東都大学リーグのレベルの高さを見せつけることとなった。
★関西オールスター5リーグ対抗戦
関西5連盟が連盟ごとに選抜チームを結成し、優勝を争う『関西オールスター5リーグ対抗戦』が6月27日から29日までの3日間、わかさスタジアム京都で行われた。
この対抗戦、ただの顔見せ興行ではなく、優勝した連盟に明治神宮野球大会関西地区代表決定戦を兼ねた関西地区大学野球選手権大会でのスーパーシード権(1勝すれば全国切符獲得)が与えられるため、毎年白熱した戦いが繰り広げられる。
今年の同大会を優勝したのは、2年連続8度目(最多)の頂点に立った関西学生リーグ。決勝戦では近畿学生リーグを4−1で下した。最優秀選手賞には今秋のドラフト候補右腕・桜井俊貴(関西学生リーグ/立命館大4年)が、敢闘賞には鈴木佳佑(近畿学生リーグ/奈良学園大3年)が、それぞれ選出された。
▲敢闘賞を受賞した鈴木佳佑(奈良学園大3年)
★侍ジャパン・大学日本代表壮行試合
6月29日、神宮球場で20,694人の観衆を集め、第28回ユニバーシアード競技大会(韓国・光州/野球競技は7月6日から)に出場する侍ジャパン・大学日本代表の壮行試合が行われた。
大学日本代表に対するのは、NPB選抜。2軍でプレーする若手選手中心の構成とはいえ、1軍で実績を残している選手や安樂智大(楽天)ら将来が嘱望される選手が中心の構成だ。そんな、いわば格上のチームとの対戦となったが、ユニバーシアードでも活躍が期待される投打の中心が躍動した。
まず、投手で圧巻の投球を見せたのが、田中正義(創価大3年)。この日の最速で153キロをマークしたストレートを中心としながらも、制球力をつけたフォークやスライダーも織り交ぜ、プロ相手に7者連続三振を含む4回無安打無四球8奪三振と圧巻の投球を見せ、観衆を大いに沸かせた。
また野手では、学生球界屈指のスラッガー・吉田正尚(青山学院大4年)が、ドラフト1位右腕・?橋光成(西武)から、文句なしの一発をライトスタンドに叩き込み、大きなインパクトを残した。守備でも1回に好返球で二塁走者を本塁で刺し、8回に長打性の当たりをダイビングキャッチ。攻守でチームに流れを呼び込んだ。
試合は2−3で敗れたものの、史上初のユニバーシアード金メダルを目指す大学日本代表にとって、格上の相手と戦う貴重な舞台となった。
■プロフィール
高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。大学野球を中心にアマチュア野球、ラグビー、ボクシングなどを取材している。高木遊の『熱闘通信(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)』随時更新中。twitterアカウントは@ you_the_ballad (https://twitter.com/you_the_ballad)
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