夏の甲子園出場をかけた全国高等学校野球選手権が各地区で開幕。昨年の大阪桐蔭のような大本命がいない今夏の甲子園は混戦模様。まずは49地区の代表校の座をめぐる戦いが繰り広げられる。
また、今年も各地にドラフト戦線を騒がせる逸材が“怪物たちの共演”とばかりに揃う。最後の夏に大活躍して秋のドラフト指名を勝ち取りたい。
そんな49地区の勢力図とドラフト候補を完全網羅した本誌『野球太郎No.031 2019夏の高校野球&ドラフト大特集号』が絶賛発売中! これがあれば夏の甲子園とドラフト注目選手のことは丸わかりとファンに支持される毎夏恒例の一冊だ。ここでは充実した誌面の読みどころを紹介したい。
巻頭を飾るのは恒例の『高校生トッププロスペクト名鑑99名』。佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、西純矢(創志学園)、及川雅貴(横浜)など“10年1人の逸材”レベルの高校生が同時に現れ令和元年の夏に、特に注目したい99人の選手たちをピックアップした。
そして寸評とともに、「持ち球クオリティ」「バットコントロール」「プロ注目度」「将来性」「プロでこんな選手に」「未来予想図」「観戦ポイント3箇条」「このボールが凄い!」「持ち味はこの打球だ!」etc……とあらゆる角度から能力を徹底分析。この名鑑を読んでいるだけで、そうとうの時間が過ぎてゆくだろう。
ちなみに「プロでこんな選手に」を見ると、奥川は上原浩治(元巨人ほか)、西は千賀滉大(ソフトバンク)、及川は石井一久(元ヤクルトほか)と具体的なプロの選手名が未来像として並ぶが、佐々木は「初めて野球を見た人でも感動できる選手」。ほかの選手を引き合いに出す必要はないとばかりに、その規格外のスケールが伝わってくる。
また、逸材たちを各地区の球場で観戦する際には、この名鑑にある「観戦ポイント3箇条」は最適のナビゲーションだ。
全体の半分弱のページ数を締める特集『全国49地区別有望選手』は濃密な恒例企画。チーム力に関係なく、有望選手・将来のドラフト候補をピックアップし、総勢800名以上が掲載されている。
また、優勝候補を4つのグループでランク分けた「地区内勢力ピラミッド」、地区全体の「ドラフト関連度」、地区内の公立校、古豪、新興勢力の気になる動き、指導者の動向などを知ることができるコラムなどが掲載され、このページがあれば各地区のことが丸わかりの充実した内容だ。
なお、強豪地区である大阪の地区内勢力ピラミッドを見ると、大阪桐蔭、履正社、大阪偕星学園、大商大高が第1グループに属している。本命不在の混戦が予想される。またコラムでは興國の監督に就任した喜多隆志(元ロッテ)監督ら元プロ選手の監督を取り上げ、大阪の勢力図を変えそうな“波”を予見している。ちなみにドラフト関連度(総合)が「C+」なのは、少し寂しい。
※興國は1回戦で大商大高と対戦し、1-3のスコアで惜敗。
『野球太郎』ならではの切り口や様々な趣向で迫る特集とインタビュー記事も充実。『佐々木朗希を見ない覚悟』とのタイトルがつけられた佐々木の特集では、彼に関わってきた人々の証言を織り交ぜて怪物の真価と現状をレポートしている。
また、学童野球時代と中学時代の指導者らに取材を重ねた“奥川恭伸の原点”を探るレポート、宮城大弥(興南)、藤本竜輝(社)、中日・米村明チーフアマスカウトへのインタビュー……まだまだ「おっ」と言う記事は盛りだくさんだ。
兵庫から好投手が生まれる理由を探る記事、球数制限へ「大人のお節介はいらない」と刺激的なタイトルがついた記事、マニアックな名ノッカー名鑑、悲願校マップ2019、中央学院と仙台育英に見るデータの収集・分析・活用法、プロのスカウト顔負けの眼力と行動力を誇る“スカウト的観戦者”たちによるカルト座談会、今春のセンバツのデータからプロで活躍する高校生を導き出した炎のストップウォッチャー・キビタキビオの分析記事……。
さらには、スーパー1年生特集、大学生・社会人も押さえたドラフト候補ランキングや春の急上昇ドラフト候補名鑑&リスト。これでもまだ紹介しきれないくらいの充実の一冊となっている。
ドラフト戦線を騒がせる逸材たちを追いながら、各地区大会を皮切りに、甲子園、ドラフトまでの約4カ月を、『野球太郎No.031 2019夏の高校野球&ドラフト大特集号』を片手に満喫しよう!
文=山本貴政(やまもと・たかまさ)