ソフトバングが2年連続優勝を決めたパ・リーグ。ペナントレースも終盤戦を迎え、焦点はCS争いに絞られてきた。今回はそんなパ・リーグの新人王候補を紹介したい。
セ・リーグに比べて、今年のパ・リーグは目新しい戦力も少なく、ややインパクトに欠けるが、新人王を手にする選手は果たして現れるのか!?(成績は9月18日時点)
今季の前半戦、新人王有資格者のなかでもっとも輝きを放ったのは西野真弘(オリックス)だ。
西野は昨年のドラフトでJR東日本から加入した25歳。身長167センチと小柄ながら、柔軟なバッティングと複数ポジションをこなせるユーティリティー性を生かして、開幕1軍の座をつかむと、4月中にスタメンに定着。3割を超える打率を残し、ドラフト7位の下位指名選手とは思えぬブレイクを果たした。
しかし、7月頭に右手有鈎骨を骨折して戦線離脱。今季中に復帰できるかどうか…という状況だ。
西野の現状成績は、57試合 打率.304 3本 22打点。新人王には試合数でやや遠い印象だが、今季の活躍を来季につなげたい。
昨ドラフトで日本ハム、DeNA、広島、阪神の4球団が1位で競合した有原航大(日本ハム)も後半戦に調子を上げてきた。
早稲田大時代には大学ナンバーワン右腕ともいわれた速球派だが、右ヒジの古傷の影響から一軍デビューは5月中旬にずれ込んだ。
そこからもヒジの状態を鑑みて、中6日以上、100球以内など条件付きでの先発を続けたが、好調打線の後押しもあり、じわじわと8勝(5敗)にまで勝ち星を増やしている。
夏場からはイニングも長くなり、9月5日のオリックスでは初完投初完封も記録。懸念は防御率が 4.93 とやや低いことだが、勝ちを2ケタまで伸ばせば、新人王の可能性も出てくるだろう。
高卒ルーキー・?橋光成(西武)も一歩及ばないが、破竹の勢いを見せている。昨ドラフトで1位指名を受け、前橋育英高から入団した?橋光成は、西武大連敗のカンフル剤として、8月2日に先発に大抜擢。
初先発こそ緊張からか落としたものの、そこから初完投初完封を4連勝を挙げ、史上最年少で月間MVP(8月)に輝いた。
記者投票で決定する新人王の性質からも、もう少しデビューが早ければ当確クラスだったが、現時点で登板7試合では新人王獲得は難しいだろう。
ルーキーでは中村奨吾(ロッテ)もチームのやや手薄な選手層に割って入り、100試合に出場するなどコンスタントに出場している。しかし成績は、打率.219 5本 18打点と開花というにはほど遠い。時折、強打や好守などのアピールポイントも見せており、今季の経験を生かして、主軸を担う存在になっていきたい。
大穴は二保旭(ソフトバンク)。プロ生活は7年目だが、支配下登録は4年目でギリギリ有資格者。(規定は支配下登録5年まで)
今季、ロングリリーフをはじめ、便利屋リリーフとして頭角を現し、40試合6勝1敗5ホールド防御率2.94の好成績を残している。
しかし、ソフトバンクの手厚い選手層もあって、勝利の方程式に食い込んでいるとは言えず、印象はやや地味になってしまう。現状では「裏新人王」となりそうだが、新たな戦力の出現にソフトバンクファンが喜んでいることは間違いない。
「該当者なし」も濃厚に思えるパ・リーグの新人王戦線。ここからさらに活躍し、印象点を上積みする選手は現れるのか!?
文=落合初春(おちあい・もとはる)