NPB史上、「4年連続の最多奪三振」を達成したのは鈴木啓示(1967〜1972年=6年連続、元近鉄)、江夏豊(1967〜1972年=6年連続、元阪神ほか)、野茂英雄(1990〜1993年、元近鉄ほか)の3人しかいない。則本はこの大記録に向けて、今季も順調なスタート切った。
昨年11月の契約更改で、2019年オフに「ポスティング条項を使用したMLB挑戦」について球団と交渉のテーブルにつく条項を盛り込んだ則本。今年3月のWBCで日本代表入りしたこともあり、より一層の責任感と、さらなる高みを目指す決意が芽生えたようだ。
今季の則本の奪三振ショーを表す『三大キーワード』を挙げてみよう。
「効率のよさ」「欲しいときに」「高頻度」の3つだ。
「効率のよさ」については、今季は3球三振が増加した。最多奪三振のタイトルを取った過去3年、奪三振数に占める3球三振の割合は、2014年が19%、2015年が17%、2016年が14%だった。
ところが、今年は56奪三振中、3球三振は17個、全体の30%と大幅アップしている。0-2のカウントから無駄球、遊び球を挟むことなく、打者に猶予を与えずに3球勝負でねじ伏せている。
この「効率のよさ」で例年の課題だった投球数過多も解消に向かいそうだ。
「欲しいときに」三振を奪っている点も、今季の則本の特徴だ。
三振という安全な形で打者を打ち取りたい場面といえば、得点圏はもちろんだが、走者を塁に背負ったときこそだ。
走者がいる場面での奪三振の割合は2014年が21%、2015年が24%、2016年が22%。今季は33%にアップしている。まさに三振が「欲しいときに」、エラーなど不測の事態が起こる危険性もあるインプレー打球で打ち取るのではなく、奪三振で多くのアウトを取ることができている。
3つ目の「高頻度」は11.72という数字に集約される。これは、今季の則本の奪三振率だ。過去3年は奪三振率は9.06、9.94、9.97だったことから見ても、今季はいかに傑出した数字を残しているかがわかる。
4月26日ロッテ戦では、普段、積極的に使わないカーブを多投して打者を翻弄。5月3日オリックス戦からは新球スプリットを解禁するなど引き出しを増やし、打者に的を絞らせない。
このまま順調にいけば、シーズン250奪三振も視野に入る。この25年間、NPBで250奪三振を達成したのは、1993年の野茂英雄、2011年のダルビッシュ有(当時日本ハム/現レンジャーズ)の2人のみで、いずれも276奪三振。今季はレジェンドと肩を並べ、「一流」から「超一流」へと進化するシーズンになりそうだ。
(成績は5月15日現在)
文=柴川友次
NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴を定点観測するブログを運営中。