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鳥谷敬が腹を括れば、阪神タイガースは変革できる!

「おまえが変わらないとチームは変わらない!』

 金本知憲監督は監督就任早々、キャプテン・鳥谷敬に檄を飛ばした。

 阪神タイガースの来季のスローガンは、「超変革Fighting Spirit」。

 阪神入団以来“優等生”で通してきた鳥谷が、金本監督の期待に応えるためには。


卓越した潜在能力


 鳥谷は、聖望学園高3年夏に甲子園出場、早稲田大では最年少三冠王を獲得するなど、中心選手としてリーグ戦4連覇に貢献する。

 2003年自由獲得枠で阪神に入団、2年目から遊撃手としてレギュラーの座を確固たるものにする。

 鳥谷の目指した遊撃手は、松井稼頭央(楽天)やデレク・ジーター(元ヤンキース)のような、走攻守3拍子揃った選手であった。

 また潜在能力の高さから、将来トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)も期待されていた。

 実際にそこまで華やかな数字を残しているわけではないものの、チームでは中軸を打ち、出塁率は高く、連続試合出場を続けるタフさもある。そしてゴールデングラブ賞の受賞は今年で4回を数えた。プレッシャーもファンの目も厳しいとされる阪神で、活躍し続け、数少ないファンに認められた選手と言ってもいいだろう。

 しかし、金本監督は言う、「すべてが物足りない」と。


WBCでの2つのビッグプレー


 そんな鳥谷が周りを、特に普段からプレーをよく見る阪神ファンを驚かせたのは、2013年WBCの台湾戦である。

 1点ビハインドで迎えた9回、鳥谷は四球を選び出塁。井端弘和への初球に盗塁を決め、同点劇を演出する。盗塁失敗すればゲームセットの場面、このビッグプレーで日本は救われた。

 しかしこの場面、鳥谷は闇雲に走ったわけではない。

 牽制球でタイミングを計り、投手のクイックが速くないことも頭に入れていた。また、過去3年間の右投手からの盗塁成功率は9割近くを残し、確たる自信を持っていたのだ。

 この思い切りは、次のオランダ戦でも発揮された。初回、先頭バッターの鳥谷は、2球目の外角ストレートを右翼席に弾丸ライナーで叩き込んだのだ。大会に入って、13打席目の初ヒットであった。

 日本代表はこの鳥谷のホームランに誘発され、大勝した。

 後に、鳥谷は「あの盗塁は腹を括った!」と言った。


優等生であっても熱いものを!


 ここまでの鳥谷を見ていると、打撃はポイントを近くに置き、球の見極めを重視。センターから左方向に飛ぶ力ない打球も多い。また走塁に関しても、次の塁を狙う意識は見えるが、積極的に盗塁を仕掛けることはない。

 失敗を許さない阪神と言う球団とファンが、常に安全策を取らせているのか、金本監督の言う「物足りなさ」がプレーに垣間見えるのだ。

 WBCで魅せた2つのビッグプレーのように、鳥谷自身が腹を括ることこそ、熱い想いを伝える手段と成り得る。

 またキャプテンとしても、ソフトバンク・松田宣浩のような“熱男”キャラである必要はない。

 “優等生”キャラの中で熱いものを背中で見せれば良い。

 鳥谷の意識が変われば、阪神変革の道は自ずと開けてくる。


文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

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